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2013 Fiscal Year Research-status Report

超臨界二酸化炭素中で行う木材の新規熱的改質処理法の開発および性能発現機構の解明

Research Project

Project/Area Number 23580239
Research InstitutionForestry and Forest Products Research Institute

Principal Investigator

松永 正弘  独立行政法人森林総合研究所, 木材改質研究領域, 主任研究員 (70353860)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 片岡 厚  独立行政法人森林総合研究所, 木材改質研究領域, 室長 (80353639)
木口 実  独立行政法人森林総合研究所, 研究コーディネーター, 木質バイオマス利用担当 (50353660)
松井 宏昭  独立行政法人森林総合研究所, 木材改質研究領域, 領域長 (90353854)
Keywords超臨界二酸化炭素 / 木材 / 熱的改質処理 / セルロース / ヘミセルロース / リグニン / 抽出成分 / 成分分解
Research Abstract

本課題では、超臨界二酸化炭素中で木材を熱的改質処理し、従来法よりも処理時間が短く、寸法安定性や耐朽性に優れた木材が製造できる新規処理法を開発するとともに、その反応機構を解明することを目的とする。これまで、同じ処理時間で熱処理をした場合、従来法と比較して超臨界法の方がより高い寸法安定性が得られることが明らかになったことから、25年度は超臨界法および従来法で熱処理した木材について、ATR-IR測定や木材成分分析を行い、両者を比較して反応機構の差異について検討した。
予め20℃/64%R.H.で調湿したスギ心材試片を1時間熱処理した。超臨界処理では、圧力10MPaを維持しながら所定温度まで加熱し、攪拌しながら熱処理を行った。従来法による乾式・湿式処理も同じ温度・時間でそれぞれ熱処理を行った。処理温度は、220℃、240℃の2ケースで行った。処理後、試片表層部および中心部をATR-IRで測定した。また、試片表層部および中心部の2箇所から脱脂木粉を作成し、木材主要構成成分の定量を行った。
実験の結果、ATR-IRの測定では、ベンゼン核の骨格振動に由来する吸収ピークが高くなる傾向が見られた。また、超臨界法で熱処理した試片を処理温度で比較すると、240℃処理の方が220℃処理よりもそれらの吸収ピークがより顕著となる傾向が見られた。以上のことから、超臨界法で熱処理した木材では相対的に芳香族化合物の比率が増加しており、処理温度の高い方がその比率がさらに高くなる可能性が示された。また、成分分析の結果、従来法では主要成分の比率がほとんど変化しなかったのに対し、超臨界法ではセルロースおよびヘミセルロースの比率が大きく低下し、リグニンおよび抽出成分の比率が大きく増加した。このことから超臨界法による熱処理では短時間で試片中心部まで十分に熱が伝わり、多糖類の分解が速やかに進行しているものと推測される。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

超臨界二酸化炭素を木材の熱的改質処理に用い、寸法安定性や耐朽性が高く均一な性能を持つ熱的改質木材の新規処理法を開発すること、および、熱的改質木材の性能発現機構を解明することを達成目標としている。今年度は、超臨界二酸化炭素を用いた熱的改質処理木材と従来法による熱的改質処理木材との成分分析を実施し、組成比較などを行った。その結果、同じ温度および時間で処理したにもかかわらず、木材主要成分の比率が超臨界法と従来法とで大きく異なることが明らかとなり、超臨界法では短時間で試片中心部まで十分に熱が伝わっている可能性が示された。このように、研究は当初の予定通りに進行しており、問題点は特にない
。

Strategy for Future Research Activity

これまでの研究の結果、超臨界法による熱的改質処理木材は反応機構が従来法と全く異なる可能性が高まり、新規熱処理法として大変重要な知見が得られた。超臨界法における特別な反応機構は、処理木材に含まれる水分(結合水)が大きく関与している可能性が考えられる。そこで、異なる含水率に調整した木材に対して熱的改質処理を実施し、処理木材表層部および中央部について木材主要成分の比率を調べる。そして、水分と分解反応機構との関係について考察を行い、反応機構の解明をさらに進める。また、超臨界法および従来法で熱的改質した木材の野外暴露試験および室内防腐性能試験を実施し、耐朽性評価を行う。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

当該課題で扱っている木材処理方法の反応機構は従来法と大きく異なると見込まれるため、木材腐朽等についての追加試験により耐朽性能を詳細に解明する必要が生じた。このため、試験機器の効率的な使用並びに消耗品の競争契約等により、経費を節約し、次年度の研究費原資としたため、未使用額が生じた。
木材腐朽等についての追加試験を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとするほか、野外暴露試験場のある八丈島・鹿児島への旅費及び学会等発表に係る旅費、参加費、論文投稿料、別刷印刷代等に使用する。

  • Research Products

    (1 results)

All 2014

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 超臨界法および従来法で熱処理した木材の構成成分比較2014

    • Author(s)
      松永正弘、片岡厚、松永浩史、石川敦子、川元スミレ、小林正彦、木口実、松井宏昭
    • Organizer
      第64回日本木材学会大会
    • Place of Presentation
      愛媛大学(松山市)
    • Year and Date
      20140313-20140315

URL: 

Published: 2015-05-28  

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