2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23580246
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邊 俊 東京大学, 大気海洋研究所, 特任研究員 (60401296)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ボウズハゼ亜科 / ヨシノボリ属 / 生殖腺指数 / 孕卵数 / 産卵期 / 系統類縁関係 / 両側回遊 |
Research Abstract |
野外調査として、国内では小笠原にて、また海外ではフィリピンにて標本の採集を行い、小笠原では主に成魚(オガサワラヨシノボリRhinogobius sp BI:30個体、ボウズハゼSicyopterus japonicus:1個体)を、フィリピンでは主に仔魚(ボウズハゼ亜科とヨシノボリ属、計300個体以上)を採集した。今後、成魚の標本は系統類縁関係もしくは集団構造に使用し、仔魚は海洋生活期の推定に用いる。 過去(2003年6月~2006年3月)に和歌山県太田川で採集したボウズハゼ、計171個体のメスの体長、体重、生殖腺のデータを使用した。体重と生殖腺の重量比から生殖腺指数を算出した結果、メスの生殖腺指数は0.0-20.8の範囲であり、7・8月の夏にのみ高い値(平均6.5)を示した。次に、各月2-5個体について、ヘマトキシリン・エオシンの二重染色による卵巣の組織学的観察を行った結果、7・8月に採集された個体のみ、第二次卵黄球期に達していた。7・8月に採集された10個体について、その産卵期に生み出されるであろう卵径200μm以上の大型卵数を推定したところ、10,800-52,500粒であり、体長とその孕卵数の間には正の相関が認められた。 熱帯に広く分布するボウズ亜科7属の系統類縁関係を、初めて分子遺伝学的手法よって解き明かした。6属(Stiphodon, Lentipes, Cotylopus, Sicyopterus, Sicydium, Akihito)はそれぞれ単系統性が示された。しかし、Sicyopus属は異なる二つのクレードにまとまった。よって、一つの属はSicyopusではなく、Smilosicyopusが有効な属名と考えた。それぞれの属における回遊特性がさらに明らかとなり、この系統結果と比較することにより、ボウズハゼ亜科の両側回遊の進化過程を説明できると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果は、原著論文1件と研究発表7件にまとめられており、今後も多くの論文発表が期待できる。初年度なので、原著論文数が少なく、研究発表数が多いことは致し方のない事と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
ヨシノボリ属魚類の河川生態については、多くの研究結果がある。よって、これらの結果を積極的に活用し、ボウズハゼ亜科の河川生態との比較を行いたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2011年3月の震災・原発事故の影響を考慮し、前半は野外調査および実験を控えた。これらの事から、経費の一部を次年度へ回した。次年度は、今年度出来なかった調査および実験も行い、結果を得たい。
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Research Products
(11 results)