2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23580260
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
池田 譲 琉球大学, 理学部, 教授 (30342744)
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Keywords | イカ類 / 他者認知 / 社会性 / 行動 / 脳・神経 |
Research Abstract |
本研究は、イカ類に見られる高次脳機能が社会性に関連して発達したとの発想のもと、同種個体より成るイカ類の複雑な群れの社会について、同種個体を見わける能力、すなわち他者認知をソーシャルブレインズ(社会脳)の視点を導入し、「心の理論」や視覚発達にも注目しつつ読み解くことを目的とした。 この目的達成のため、平成25年度は他者認知の種間変異について、アオリイカと比べて社会性レベルが低いコウイカ科のトラフコウイカを対象に調べ、得られた結果をアオリイカと比較した。初めに、他者認知の有無と程度について探るため、トラフコウイカを孵化時より集団飼育し、行動を観察した。その結果、本種は孵化後初期の段階から、同種個体と近接するかたちで静座、分布するなど、同種個体に対して強い嗜好性を示す、すなわち、種認知の能力が示唆された。さらに、孵化後の時間経過にともない、静座に際しての同種個体との距離が伸びるなど、同種への嗜好性に変化も認められ、アオリイカとは異なる側面が見られた。 さらに、他者認知の基盤となる視覚能力について探るため、トラフコウイカを孵化時より飼育し、餌生物の視認を基準とした視認距離の測定を行うとともに、眼の網膜について解剖学的検討を加えた。その結果、トラフコウイカは30日齢から110日齢にかけて視認距離が増加すること、それに呼応するように、網膜に分布する視細胞の密度も増加すること、さらには、視細胞の密度分布に局所的な相違が見られることなど、本種の視覚能力が孵化後の時間経過に伴い発達することが示された。
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