2011 Fiscal Year Research-status Report
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23580264
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
大越 健嗣 東邦大学, 理学部, 教授 (60201969)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 外来生物 / サイレント・エイリアン / サキグロタマツメタ / ホンビノスガイ |
Research Abstract |
2011年3月11日に発生した東北太平洋沖地震により、調査を予定していた宮城県と福島県は大きな被害を受け、現地に入り予定していた調査を行うことが困難になった。そこで、調査の多くは次年度に行うこととし、当該年度は予備的な調査と新たに加えた地震・津波の影響の検討を行った。(1)地震後のアサリ養殖場の調査:船のほとんどが流されたことと地盤沈下、さらには放射能の影響が懸念されたことから、宮城県および福島県でのアサリ漁場調査はほとんど行うことができなかった。両県の当該年度のアサリ生産量はほぼゼロになり、まだ生産再開の見通しは立っていない。(2)原産地での調査も行うことができず次年度以降に行うこととした。(3)東京湾におけるホンビノスガイとアサリの分布調査、環境耐性実験:東京湾におけるアサリとホンビノスガイの分布等の研究情報の収集を行った。両者が共存する場所として調査を予定していたふなばし三番瀬海浜公園地先の浜は地震・津波の影響で閉園となり調査を行うことができなかった。(4)宮城県と福島県で陸からエントリーできる場所および東京湾で、外来生物サキグロタマツメタの地震・津波後の生息状況を確認した。東北でもサキグロタマツメタが生き残っていることを確認し、次年度以降に個体群動態や再生産などについて検討する。(5)本調査の内容には含まれていなかったが、地震・津波のストレスでアサリの貝殻に成長障害輪ができ、またその後成長した貝殻の模様が変化することを発見した。このことは新聞やテレビで繰り返し報道された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
調査を予定していた宮城県と福島県の海域は東北太平洋沖地震により環境が大きく変化し、予定していたアサリ漁場の現地調査をほとんど行うことができなかった。東京湾でも予定していた調査地の公園が液状化と津波の影響で閉園になり立ち入り禁止となった。研究の柱であった現地調査そのものを満足に行うことができなかったことから達成度について言及すること自体困難だと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究開始直前に起こった東北太平洋沖地震とその後の津波の影響で、昨年度は予定していた調査がほとんどできなかった。したがって、今年度再度調査を試みたい。また、地震・津波によって調査地の環境と外来生物を含めた生物の生息状況は大きく変わっていることが予想される。したがって、地震・津波後の現状把握をまず行い、その後計画の変更も含めて研究項目を改めて検討したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度に行うことがでなかった研究項目を中心に以下の検討を行う。(1)地震後のアサリ養殖場の調査:2011年3月11日に発生した東北太平洋沖地震で東北地方の主要なアサリ養殖場である宮城県石巻市の万石浦、東松島市や松島市の沿岸、福島県相馬市の松川浦は津波の影響で環境が大きく変化した。当地域におけるアサリ生産はほぼゼロになっている。(本研究の申請時にはなかった項目であるが)地震後の現地調査を行い、現状を把握する。(2)地震後の外来生物の生息状況:地震・津波は外来生物にも大きな影響を及ぼしていることが考えられる。そこで、サキグロタマツメタの地震・津波後の生息状況や再生産の状況を把握する。(3)原産地での調査:中国または韓国においてアサリの養殖場、採集、選別、袋詰め、移動、輸出までの現状を把握するために原産地の調査を行う。調査には国際的、政治的、経済的など様々な要因が絡み、調査が困難な場合が多い。どの年度にどの国のどこを調査するかというタイトな立案は困難である。そこで原産地の調査は24年度から25年度まで行うが、年度毎に国と地域を限定することはせず、継続的に各国に打診し、調査のチャンスが出たところから実施するという方法で行いたい。(4)東京湾におけるホンビノスガイとアサリの分布調査:これまでの東京湾におけるアサリとホンビノスガイの分布等の研究情報の収集を行うとともに、両者が共存する場所、一方のみが生息する場所、稚貝の生息場などを調査する。
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Research Products
(11 results)