2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23580264
|
Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
大越 健嗣 東邦大学, 理学部, 教授 (60201969)
|
Keywords | 外来生物 / サキグロタマツメタ / アサリ / 津波 / 地震 |
Research Abstract |
東北太平洋沖地震により、研究対象としていたフィールドである宮城県と福島県は大きな被害を受け、フィールドそのものが大きく変化した。また、地震・津波の影響は軽微であったが、東京湾についても研究対象とするフィールドに地震前との違いが見られた。 そのため、研究初年度である平成23年度は予定していたフィールド調査がほとんど行えず、また2年目の平成24年度は、調査対象種であるアサリと外来生物であるサキグロタマツメタの地震・津波後の生息状況をを把握するとともに、外来種の原産地である中国のフィールドでの調査を行った。 これらをもとに、3年目にあたる平成25年度には宮城県2か所、福島県1か所をフィールドとして調査を行い下記の成果を得た。尚、地震・津波の影響で初年度予定していた調査がほとんどできなかったこと、本研究申請時の地震前とはフィールドの状況が大きく変化していることから、さらに1年間延長して研究を行うこととした。 1.コドラート法により、アサリやサキグロタマツメタを含めた埋在性および表在性貝類の個体群動態を調査し、地震後の生息状状況を検討した。アサリは地震後も毎年発生し稚貝の加入がみられたが、夏以降の生き残りが悪く、資源は安定していないことが明らかになった。 2.サキグロタマツメタは25年度も調査したすべての場所で発見されたが、明らかに再生産が認められた場所(卵塊と稚貝がみつかったところ)とそうでないところがあり、また何れの場所でも、採集された個体数は地震・津波前より少なかった。 3.サキグロタマツメタの穿孔痕のある貝類の割合を求めたところ、生息している貝類の組成とは異なり、アサリへの穿孔割合が多いことが明らかになった。したがって、地震・津波後も、サキグロタマツメタはアサリの生産に影響を与え続けていることが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東北太平洋沖地震により、研究対象としていたフィールドである宮城県と福島県は大きな被害を受けた。フィールドそのものが大きく変化ししたことから、研究初年度である平成23年度は予定していたフィールド調査がほとんど行えなかった。そこで、調査内容を一部変更するとともに、さらに1年間延長して研究を行うこととした。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度までに行うことができなかった研究項目を中心に以下の検討を行う。前年度からの継続調査も含む。 1.地震後のアサリ及び埋在性二枚貝の生息状況調査(継続)。宮城県2か所、福島県1か所を中心にコドラート法による定量調査を継続して実施し、発生、成長、新規加入などを把握する。 2.地震後の外来生物の生息状況調査(継続)。東京湾も含め、地震後のサキグロタマツメタの個体数変動や分布状況、アサリ他貝類への捕食状況を把握する。 3.東京湾におけるサキグロタマツメタとホンビノスガイの分布調査。分布が重なる場所の有無、共存する場所があればそこでの両者の捕食・被食関係の有無などを調査し、外来種同士のインタラクションについて検討する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
地震・津波の発生により初年度の調査がほとんどできなかったことと、調査地の環境が激変したため研究計画の変更を余儀なくされたため。 現地の状況変化に応じて25年度までに行うことのできなかった調査地での調査費用に研究費を使用する。具体的には、旅費・宿泊費、移動や傭船に関わる経費、調査用具、保存、計測・データ解析などに関わる経費に充てる。また、原産地等における調査に関わる旅費に使用する。さらには、国内外の学会やシンポジウムなどへの参加旅費、論文の出版費用などに使用する。
|
Research Products
(14 results)