2013 Fiscal Year Annual Research Report
イルカ細胞培養技術の確立および未知アクアポリンの浸透圧調節における機能の解明
Project/Area Number |
23580265
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
鈴木 美和 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (70409069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 琢也 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (20307820)
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Keywords | 浸透圧耐性 / ノックダウン / アクアポリン / 鯨類 / イルカ |
Research Abstract |
平成25年度はバンドウイルカ腎培養細胞を用いて,(1)細胞の浸透圧耐性,(2)AQP2および未知AQPの高張環境に対する反応,(3)siRNAを用いたAQP2および未知AQPのノックダウンによる細胞浸透圧耐性への影響,を各々調べた.その結果,以下のことが明らかとなった. (1)通常培地(約250 mOsm/kg)を用いて培養されたイルカ腎細胞は,NaClの添加により500 mOsm/kgに浸透圧をあげると多くの細胞が短期間で収縮・変形し,大多数が細胞死を起こした.その一方で,尿素やにより同程度に高張にした培地の中では細胞は変形せず,ほぼ全てが生き残った.マンニトール添加による高張環境では塩化ナトリウム添加時よりも緩やかではあるが一部の細胞が死んだ.これらのことから,イルカの腎細胞はナトリウムイオンの強度に対して敏感に反応することが判明した.また,NaClを付加した高張液に細胞を曝した後,24時間程度経過すると形態を元に戻す細胞も認められたことから,高NaCl環境に適応する能力をもつ細胞があることが分かった. (2)NaCl添加による高張環境下では,腎細胞でのAQP2,未知AQPともにmRNA発現量が有意に増加した.このことから体液の浸透圧上昇に対する細胞の対応(浸透圧耐性)にこれらの分子が関与することが示唆された. (3)AQP2および未知AQPに対するsiRNAを作製し,これらを各々トランスフェクションすることでノックダウンをかけた細胞を高張液にさらしたところ,コントロールと比べて細胞の生存率が下がり,かつ細胞の形態異常がより多く認められることが分かった. 以上の結果を総合すると,AQP2および未知AQPはいずれもイルカの細胞の浸透圧耐性に深く関わる分子であると考えられた.現在,これらの結果をまとめた論文を執筆中である.
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Research Products
(3 results)