2011 Fiscal Year Research-status Report
クロマグロの環境刺激に対する反応行動発現モデルの構築
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23580269
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
鳥澤 眞介 近畿大学, 農学部, 研究員 (80399097)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 行動生理 / クロマグロ / 養殖 / 感覚器 / 行動モデル |
Research Abstract |
近年クロマグロは資源量の減少が世界的に重大な問題となっており,資源の回復と維持のための方策の実施が急務となっている。そのため,種苗生産から沖合域での浮沈式大型生簀による飼育に至るまでの本格的な完全養殖技術の早急な確立が望まれている。これらを実施するには,高速遊泳や高水深への潜水が可能となるよう特化し,太平洋を横断回遊するといった高い適応能力を持つ一方で,狭い空間内では生残・飼育が困難であるという適応特化の極端な両面を併せ持つ本種の行動特性の把握に留まらず,環境刺激(光強度,空間サイズ,水深,水温,流れ)を受けることによって,本種がどのような行動を発現するのかを明らかにしなければならない。そこで,本研究では申請者らが明らかにした視覚に依存した行動をするクロマグロが環境変化という外的刺激を受けたときに創発する反応行動の数理モデルの構築を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
種苗生産されたクロマグロ幼魚から沖合の浮沈式生簀で飼育される性成熟した親魚に至るまでの成長段階の供試魚を用いて,環境刺激に対する反応行動の誘発メカニズムを成長段階別に調べた。生簀内で自由遊泳する魚群の遊泳行動をステレオ・ビデオカメラにより撮影・記録し,個体の3次元位置座標を抽出することで,3次元の運動解析を行った。この時の環境刺激は照度,水温,流れ,養成空間の変化を伴っている。そのため,行動モニタリング結果から得られた行動特性と環境パラメータとの関係を表す行動モデルを導くための準備は順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
クロマグロの行動および行動発現時の外部環境データを引き続き詳細にモニタリングする。行動と環境のモニタリング・ケースを増加させ,できるだけ詳細で大量のデータ取得を目指す。こうして取得したデータを解析し,環境刺激により誘発された反応行動の数理モデルの構築を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
クロマグロ行動実験と養成環境のモニタリング実験を引き続き実施予定である。次年度も高知県柏島の沖合に設置された浮沈式沖合生簀でのモニタリング実験を予定している。取得したデータは,環境刺激により誘発された反応行動の数理モデル構築に向けて,順次解析予定である。
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