2011 Fiscal Year Research-status Report
水産食品におけるバクテリオシン耐性リステリア菌の動態と制御に関する研究
Project/Area Number |
23580274
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山崎 浩司 北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 准教授 (40250500)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | リステリア菌 / ナイシン / バクテリオシン / 耐性菌 |
Research Abstract |
ナイシン耐性リステリア菌を人為的に作出し, 発育特性および抗菌物質感受性を調査した。1.ナイシン耐性出現頻度の調査:最小発育阻止濃度 (MIC) の4倍量のナイシンAを添加した液体培地にリステリア菌を接種し, 30℃で1時間保持後の生残率から耐性出現頻度を算出した。ナイシンのMIC値が7.81 μg/mlのIID577株の耐性出現頻度は1.2×10-5, MIC値が1.95 μg/mlのATCC7644株では1.0×10-8以下であり, リステリア菌のナイシン感受性が高いほど耐性出現頻度は小さかった。2.ナイシン耐性リステリア菌の作出および発育動態調査:ナイシン含有平板培地にリステリア菌を接種し, 30℃で培養後, 平板上に出現したコロニーから45株のナイシン耐性株を得た。耐性強度の違う3株を選抜し,その発育特性を調べた。ナイシン耐性株の低温(4℃,8℃)、酸性(pH 5.0,6.0)およびNaCl存在下(3%、10%)における発育は,その誘導時間および最大比増殖速度を比較すると親株と同等以下となり、ナイシン耐性獲得による発育特性の大きな変化はなかった。3.ナイシン耐性リステリア菌の各種薬剤感受性の検討:ナイシン耐性リステリア菌の食品添加物および抗生物質に対する感受性をMICまたはディスク拡散法で調べた。ナイシン耐性株では耐性強度によらず, 卵白リゾチーム, ε-ポリリジン, プロタミンに対する感受性が低下し、タンパク質性抗菌物質に対する交叉耐性の獲得が確認された。一方,その他の非タンパク質性の抗菌物質に対する感受性はほとんど変化なかった。抗生物質に対しては,全てのナイシン耐性株でポリミキシンBに対する感受性が低下したが、アンピシリンやテトラサイクリンに対しても菌株毎に異なる感受性変化が見られたことから多様な耐性機構を持つ可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,リステリア菌による食中毒リスクを低減するために,食品保蔵へバクテリオシンであるナイシンを積極的に利用するための基礎的な知見を得るための研究であり,特に,バクテリオシン耐性リステリア菌の性質と耐性獲得機構を明らかにしようとするものである。本年度は,まずナイシン耐性リステリア菌の獲得とその基礎的な細胞特性を明らかにしようと計画していたが,当初計画通り実験を行い,概ね良好な結果を得ていることから評価区分(2)とした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に計画した研究内容を概ね達成したことから,当初計画通り,ナイシン耐性リステリア菌の細胞における変化について,細胞膜組成(脂質やタンパク質)ならびに細胞壁の構造変化を観察し,耐性メカニズムについて総合的に考察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
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Research Products
(2 results)