2013 Fiscal Year Annual Research Report
低温菌由来酵素の低温高活性構造の解明と安定な酵素への改良
Project/Area Number |
23580279
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
石田 真巳 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 准教授 (80223006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 和文 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (40346185)
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Keywords | 低温適応 / 低温高活性酵素 / トリプトファン合成酵素 / 結晶構造 / 安定性 / プロテアーゼ |
Research Abstract |
低温菌Shewanella frigidimarina由来トリプトファン合成酵素αサブユニットの結晶構造、活性や安定性などの性質についてまとめ、J. Biochem.(2014)155, 73-82に公表した。この中で、中温菌酵素に比べて低温菌酵素がどの様な特性の違いを有しているか考察し、こうした違いをもたらす構造の特徴との相関を議論した。 結晶構造比較から低温菌酵素トリプトファン合成酵素αサブユニットの低温高活性に寄与すると推定したアミノ酸残基Leu211を中温菌型酵素型のGlnに置換した変異酵素について、インドール測定法を用いて5~55℃の広範囲で酵素活性を測定し、低温菌酵素、中温菌酵素と比較した。その結果、常温での活性に対する低温での活性の相対値を比べると、変異酵素は低温菌酵素と中温菌酵素の中間で、低温高活性さが低下した。しかし、変異酵素の比活性は全温度範囲で低温菌酵素の1/3程度に低下していた。これらの結果は、Leu211アミノ酸残基が低温高活性に寄与しているだけでなく、低温菌酵素の比活性の高さにも関係していることを示している。低温菌トリプトファン合成酵素α2β2複合体は解析できる結晶に成長しなかったため、低温高活性構造の考察はαサブユニットでまとめることにした。 低温菌Vibrioプロテアーゼの進化工学については、昨年度の成果を基に、酵素前駆体の遺伝子を材料として変異誘発実験を行った。が、アゾコール基質では予想よりバラツキが大きくて変異体の検出が困難だったため、基質特異性を検討した。その結果、天然コラーゲンでは本酵素は構造が緩んだ架橋部を切断し、三重らせん部分は切断しにくいことが分かり、平成25年度秋季日本水産学会大会(平成25年9月 津市)で発表した。さらに蛍光標識合成ペプチドも本酵素が分解することが分かり、進化工学に適した安定な測定が可能なことを確認できた。
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