2013 Fiscal Year Annual Research Report
海産生物における記憶喪失性貝毒の生産・動態に関する研究
Project/Area Number |
23580285
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
小瀧 裕一 北里大学, 水産学部, 准教授 (30113278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小檜山 篤志 北里大学, 水産学部, 准教授 (60337988)
安元 剛 北里大学, 水産学部, 講師 (00448200)
寺田 竜太 鹿児島大学, 水産学部, 准教授 (70336329)
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Keywords | 記憶喪失性貝毒 / ドウモイ酸 / イソドウモイ酸 / Pseudo-nitzschia / Nitzschia / 黒潮 / 細菌 / 分布特性 |
Research Abstract |
ASP毒生産藻3種に関して、その分布および毒生産特性・機構、毒の動態を検討した。 Pseudo-nitzschia. multiseriesに関しては、死滅株に替えて大船渡湾・越喜来湾から新たな分離株の作製を試み、2013年末に成功したが、培養実験を期限内に実施するには至らなかった。 Nitzschia navis-varingicaの分布・ASP毒生産に関しては、1)本研究課題解明中に到達した仮説(同種は南方起源で黒潮などの暖流に乗ってアジア各地にその分布を拡大した)について、その実証のキー地点と考えられる地域において同種の分布調査を実施、フィリピン最北端のLaoag沿岸、台湾西岸、三重・和歌山沿岸で新たに分布を確認した。この結果は上記の仮説を支持する。またこれまでのキー地点から分離した同種rDNAのITS領域を比較した結果も上記の仮説を支持した。さらに温度別培養実験を行い、同種の南方性を確認した(投稿準備中)。2)培地中の鉄濃度と同種の増殖・毒生産の関係を調べた結果、P. multiseries同様密接な関係があることを確認した。3)同種による貝類の毒化調査を実施、フィリピン中部河口域の巻貝(Vittina sp.)二枚貝(Polymesoda erosa)のDAによる毒化を確認した。4)貝類へのASP毒の蓄積と動態を調べるために、ホタテガイ他数種類への毒投与実験や貝の粗酵素抽出液を用いたASP毒の構造変換・分解実験を予備的に実施したが、再現性のある急激な分解や構造変換は観察されなかった。昨年度までと今回の結果より、N. navis-varingicaの毒組成に影響を及ぼす因子のうち、1)遺伝的な相違は毒組成のタイプの違いに大きく影響する、2)培養液中の細菌はDAの増加IAの減少に弱く影響する、3)pHや塩分濃度などの物理的環境要因は、DA-IBタイプ内の毒の割合に影響を及ぼすことなどが示唆された。また毒生産に及ぼす細菌の影響は、P. multiseries>N. navis-varingica>Chondria armataと考えられた(投稿準備中)。
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Research Products
(3 results)