2013 Fiscal Year Annual Research Report
日本農業と東アジア回廊農業(北海道・東アジア・沖縄)の比較農村構造論的研究
Project/Area Number |
23580288
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
朴 紅 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80312396)
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Keywords | 中国 / 韓国 |
Research Abstract |
本研究は、日本内地を経由せずに北海道から沖縄に至る「東アジア回廊」を大陸部・半島部・島嶼部に区分し、それらの農村社会構造の分析を行い、日本内地・本土農業の相対化を図ろうとする試みである。具体的には、「東アジア回廊」農業を北海道=内国植民地農業、中国東北=大陸内国植民地農業、韓国=大陸半島部農業、中国山東省=大陸沿海部I農業、中国江南地域=大陸沿海部II農業、台湾・沖縄=島嶼部農業に区分し、中国黒竜江省の国有農場、韓国江原道の泉田里、中国江蘇省の開弦弓村、台湾宜蘭県の三星郷、中国海南島の国有農場を中心に調査を行い、主に土地所有、農家、集落の性格を分析し、その類型化を図った。研究手法はマルク・ブロックの提起した現状から歴史を遡る方法を採用することで、農村社会構造を総合的に把握することに一定の成果を得た。まず、土地所有の性格については、「人と土地の再生産関係」に規定されているため、生産性をベースに分配関係を含めた人口扶養力の水準が決定され、人の再生産が規定される関係にある。相続はその1つの現象形態であり、こうした関係を歴史的な視点から比較分析を中国の江蘇省と海南島で行った。次に、農家の性格については、以上の農業生産に規定されるが、農村における就業構造は農工商の多分野にわたっており、農家の就業形態は多様性を有している。農家の再生産はこうした就業構造と相続制度が相まって家族のライフスタイルを規定している。本研究はこれらの比較研究を中国の江蘇省、韓国の江原道で行った。最後に、集落の性格については、日本内地・本土に見られる自治村落はアジアにおいては極めて特殊な存在であり、農家の結合関係も多様である。共同労働の存在、交易市による結合などがそれであるが、近代化による変化も含め、その比較研究を韓国の江原道、台湾の宜蘭県で行った。
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