2012 Fiscal Year Research-status Report
北海道農業における新規参入の新展開とリスク対応の特質
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23580289
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
東山 寛 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (60279502)
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Keywords | 新規参入支援 |
Research Abstract |
本研究の目的は、北海道農業を対象として、実際に各地域において取り組まれている新規参入支援の実態を分析し、今後の新規参入支援に向けた取り組みを充実・強化するための方策を検討することにある。 本年度は、本研究があらかじめ観察対象として設定している根釧草地酪農地帯の浜中町と、農業者の継承支援組織を単位としてユニークな新規参入支援の取り組みをおこなっている美深町において継続的な調査を実施した。 また、本年度は調査対象地域を拡張し、①農協出資法人を活用した新規参入支援の取り組みでは道内でも先駆的な実践例をもっている網走管内の津別町、②同じく農協出資法人を活用した初めての参入事例を生み出した根釧草地酪農地帯の標茶町、③放牧酪農の実践を通じて多くの参入事例を生み出している十勝管内の足寄町、④道南園芸地帯に位置する渡島管内の知内町及び日高管内の新ひだか町、を調査対象に加え、地域関係機関が取り組んでいる参入支援の内容と、新規参入者の面接調査を実施した。 これらの調査を通じて浮かび上がってきた本研究の課題への示唆は、次の2点である。 まず第1に、農協出資法人を活用した新規参入支援のキーポイントは、農協が新規参入者向けの「物件」として離農牧場を「中間保有」する機能にある。適切な参入候補者が現れるまでのタイミングと、こうした「物件」が発生するタイミングには時間的なズレがあることから、両者をつなぐ機能をこの「中間保有」が担っていること。 第2に、道南を中心とした園芸地帯では、近年になって本格的な参入支援が展開していることであり、本年度に対象とした事例地域に留まらない広がりをもっている。こうした取り組みの背景は、新規参入対策が、産地の維持・強化策と結びつけて捉えられていることにあると理解された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度においても、あらかじめ定点的な調査対象として設定した地域(浜中町・美深町)における新規参入支援の取り組みについて、その後の進展状況も含めて継続的な調査を実施した。また、本研究が着目している農協出資法人を活用した事例についても、調査対象を拡張した。さらに、園芸地帯において新たな新規参入支援が展開している事実を確認した。本研究の対象としてふさわしい事例の追加、及び新たな着目点を得ることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、研究終了の前年にあたることから、これまで定点的な調査対象としてきた2事例(浜中町・美深町)について、取りまとめのために必要な補足調査を実施する。また、本研究が着目している農協出資法人を活用した新規参入支援について、浜中町に加えて、24年度に調査対象に加えた津別町、また、その取り組みが道内でも注目されている佐呂間町などを加えて、地域横断的な比較分析をおこなう。さらに、新たな着目点として道南園芸地帯における新規参入支援の新展開を対象としてマークし、事例調査の追加をおこなう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし。
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Research Products
(5 results)