2013 Fiscal Year Annual Research Report
日本における水産物の多様性に関する研究ーフードシステム論からの接近ー
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23580295
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
工藤 貴史 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 准教授 (00293093)
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Keywords | 水産物の多様性 / マイナーな水産物 / 未利用 / 流通促進 |
Research Abstract |
最終年度となる本年度は、課題2「日本におけるマイナーな水産物のフードシステムとその変化について明らかにする」ことと、課題3「マイナーな水産物の利用促進の取り組みとその課題について明らかにする」ことに取り組んだ。課題2は、静岡県伊豆半島地区におけるテングサ、熊本県天草地区におけるコノシロ・シイラ等、山口県萩地区におけるヒメジ等を調査し、新潟県におけるシロザケ、北海道のブリについて現地調査を実施した。課題3は、長崎県蒲鉾水産加工業協同組合による未利用資源をスリミ加工品に利用する新たな取り組み、山口県漁協はぎ支店(萩しーまーと)による低利用資源を利用した地産地消・6次産業化の取り組み、北海道漁連におけるブリ・地魚を利用した加工品製造・販売の新たな取り組みについて現地調査を実施した。そして、これまでの調査結果から、水産物の多様性が低下する構造的要因とその問題点を検討し、水産物の多様性が維持されるためのフードシステムのあり方とその課題について考察した。 本研究の全体の成果は以下の通りである。日本の周辺漁場は生物生産性と生物多様性が高く、多種多様な生物を水産物として利用してきた。しかし、川上である漁業は漁業者の減少と高齢化により漁業生産力の低下=自然を資源化する機能が弱まっており、川中では末端小売主導の水産物市場が形成され、さらに川下においては魚離れといった食生活の変化等も相まって、1990年代後半から日本における水産物の多様性が損なわれてきたことを本研究において明らかにした。また、こうした状況において漁村では未利用化・低利用化する水産物の地域消費を促進する取り組みや鮮魚流通が減少している水産物を地元加工して価格維持を図ろうとする取り組みが実施されており、本研究ではその実態と課題について明らかにし、水産物の多様性が維持されるためのフードシステムのあり方について考察した。
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Research Products
(7 results)