2013 Fiscal Year Annual Research Report
米戸別所得補償制度の再設計に関する計量経済学的研究
Project/Area Number |
23580306
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
前田 幸嗣 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20274524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 宣弘 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (80304765)
外園 智史 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (40611570)
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Keywords | 戸別所得補償制度 / 制度設計 / 環太平洋経済連携協定 / ポリシーミックス / 計量経済分析 |
Research Abstract |
本研究の目的は、環太平洋経済連携協定(TPP)への参加がわが国の米経済に与える影響を分析し、その上で、米戸別所得補償制度の再設計について計量経済分析を行うことである。本年度及び研究期間全体の研究成果は、次のとおりである。 1.TPPが米貿易に与える影響について、政策シミュレーションモデルを空間均衡モデルとして構築し、計量分析を行った結果、TPPはわが国の米経済に大打撃を与えることが明らかになった。 2.現行の米戸別所得補償制度の問題点について実態調査分析を行った結果、予算制約が制度の最大の問題であり、制度の再設計に当たっては、一定程度の関税と稲作の規模拡大を政策オプションとして組み合わせることが重要であることが明らかになった。 3.関税、規模拡大及び予算制約下の直接支払いの組み合わせについて、一元的に分析を行いうる米戸別所得補償制度の政策シミュレーションモデルを構築し、計量分析を行った結果、現行778%の関税を約200%まで引き下げ、稲作の平均作付規模を現在の約10倍まで拡大し、米戸別所得補償制度により約5千億円の直接支払いを行うという政策オプションが最適な組み合わせになることが明らかになった。 米以外の農畜産物についても本研究と同様の計量分析を行うことが今後の課題として残されているが、現在議論が活発に行われているTPP交渉だけでなく、さまざまな自由貿易協定(FTA)の交渉についても、わが国の臨み方と国内対応策の一案を示している点が本研究の意義として考えられるだろう。
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Research Products
(10 results)