2011 Fiscal Year Research-status Report
食の安全とアニマルウェルフェアに配慮した畜産物フードチェーンの開発に関する研究
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23580315
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
永松 美希 日本獣医生命科学大学, 応用生命科学部, 教授 (60202230)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | アニマルウェルフェア / EU農業政策 / UEP(全米養鶏者生産組合) / 食の安全 / アメリカスーパーマーケット / 食育 / OIE / ファーマーズマーケット |
Research Abstract |
アニマルウェルフェア(Animal Welfare)とは「動物福祉」や「家畜福祉」と日本語訳されることが多い。 欧州連合EUでは、近年、このアニマルウェルフェアへの取り組みを強化し、すでに本年2012年1月からは従来型のケージ採卵養鶏を禁止し、来年2013年には母豚のストール飼育も禁止することを決定している。 従来、EUのアニマルウェルフェア推進政策に反対する立場を堅持し、国家レベルでの法律を制定していないアメリカでも大きな変化が現れた。2011年7月に全米鶏卵生産者組合(UEP:United Egg Producers)と全米人道協会 (HSUS:The Humane Society of United States)が、今後アメリカにおいて、従来型のケージ養鶏を禁止する歴史的合意に至ったことが公表され、UEPは直ちに、全米6カ所でUEP会員に向けた説明会を開催した。研究代表者はこの会議に出席し、アメリカの最新のアニマルウェルフェアへの取り組み状況について調査巣つことができた。あわせてアメリカのスーパーマーケットのアニマルウェルフェアフードチェーンの開発状況やファーマーズマーケットの様子等も調査した。日本においては東京都食育フェア来場者にアニマルウェルフェアに対する関心や認知度についてのアンケート調査を約250名に実施した。その結果、アニマルウェルフェアについて関心がある消費者も見られるものの、まだまだ聞いたことのない消費者もいることが判明した。 国内似ついては消費者だけではなく先進的なアニマルウェルフェアチェーン開発に取り組み酪農家や乳業メーカーの調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度、この食の安全とアニマルウェルフェアに配慮した畜産物フードチェーンの開発に関する状況についての申請が受理された時点では、アメリカのアニマルウェルフェアに関しては大きな動きがなかったが、2011年度夏に劇的な変化を訪れた。このUEPの会議に参加することでアメリカのアニマルウェルフェアの進展状況を直接知ることができ、研究を進める上で大きな成果が上がった。何よりもこの点が最大の成果と言える。さらにアメリカのスーパーマーケットにおいても独自のアニマルウェルフェアチェーン開発の動きがありその点についても調査することができた。この両者の調査で日本に多大な影響を与えているアメリカ畜産業と畜産フードシステムの分析を開始することができた。EUに関しても、これまで以上のアニマルウェルフェアに対する取り組みが見られ、その点に関しては文献と情報集を行い翻訳整理した。日本については食育フェアでのアンケート調査と先駆的的事例の調査を実施し、新しいチェーン開発についての分析を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、2011年度の結果をもとに、アメリカでのアニマルウェルフェアの動向について、的確な調査とその分析を実施したい.世界のアニマルウェルフェア政策のリーダーであるEUについても最新の現場の動きを調査する。また、世界の畜産物マーケットの動向についても分析を行いたい。国内においては消費者の食の安全と畜産物フードチェーンに対する関心を調査し、さらに生産現場の取り組み状況について調査を行う。以上の調査をもとに、世界の食の安全とアニマルウェルフェア畜産物フードチェーン開発についての研究分析を深めることを今年度の課題とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
アメリカのアニマルウェルフェアフードチェーン開発についての調査を実施する(旅費使用)。世界の食品マーケットのトレンドを調査するため、ドイツ食品見本市の視察を実施する(旅費使用)。本年度2012年OIE総会においてアニマルウェルフェアガイドラインが採択される見込みである。このガイドラインが採択されると日本だけではなくEUやアメリカそして世界の畜産政策に多大な影響を与えると考えられる。そこでこのOIE国際会議に出席する(旅費使用)。国内においては今年度も東京と食育フェアにおいてアニマルウェルフェアへの関心について消費者調査を実施する(謝金)。以上が主な研究費の使用計画である。
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Research Products
(3 results)