2011 Fiscal Year Research-status Report
中山間地域の営農システム再構築のためのコア的地域主体の諸形態・存立条件と成長戦略
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23580318
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
柏 雅之 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (40204383)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 中山間地域 / 中山間地域等直接支払制度 / 市町村農業公社 / 集落営農法人 / 社会的企業 / イギリス農村の社会的企業 / 国際情報交流(イギリス) / 衰退地域再生政策 |
Research Abstract |
平成23年度は、まず国内研究に関しては以下を行った。第1に、富山県南砺市・旧利賀村、旧上平村、旧平村における市町村農業公社に関する実態分析である。財団法人利賀村農業公社と財団法人五箇山農業公社である。そこでは、中山間地域等直接支払制度の公社への集中をもって公社経営の採算確保をする戦略をとっている。本研究では、その経営実態を詳細に分析するとともに、集落協定の中での位置づけ、耕作放棄防止機能の検証などを行った。こうしたのちに、中山間地域等直接支払制度施行下の「最後の受け皿」としてのこうした主体を、日本農山村型の社会的企業と位置づけ分析を行った。社会的企業は純民間経営とは異なり、規模の不経済が働く中にあって、利潤最大化点で操業を停止することなく作業規模を拡大する(受託面積拡大)。しかし損益分岐点を超える操業は経営持続性確保のため困難である。そこで、直接支払金の集中が公社に対して行われると操業可能領域は拡大する。しかし、全協定水田面積の中での公社の受託面積が拡大するにつれて「集中」のメリットは低下し、最後にゼロとなる。こうした中で、より多くの農地を耕作するためには、行政セクターによるコスト分担の検討が必要とならざるを得ない。こうした問題意識を実態分析の中から明らかにした。 つぎにイギリスでの研究においては衰退地域再生政策の政権交代後の変化や農村での社会的企業の意義と公民連携システムに関するヒアリングや資料調査を行いえた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中山間地域における営農・資源管理システムの構築であるが、その有力な主体となりえる市町村農業公社と中山間地域等直接支払制度の戦略的運用方式に関する意義と限界、およびその克服手法について大きな手掛かりを実態調査を通して得ることができた。 そしてコスト論的視座からの考察を通して、日本農山村型の社会的企業とその支援手法を段階的に示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の成果をさらに拡張すべく理論的・実証的研究を行う。まず、市町村農業公社の規模の不経済低減施策としての集落レベルでの対応形態に関する分析、集落営農法人の適正規模論などの研究を通して、中山間地域の営農・資源管理の主体と地域システムに関する研究を深める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
北陸、中国、四国などの中山間地域における担い手と地域システムに関する実態調査を行う。また、引き続き、イギリスの農村政策や衰退地域再生政策および農村の社会的企業に関する調査を行う。
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Research Products
(1 results)