2013 Fiscal Year Research-status Report
中山間地域の営農システム再構築のためのコア的地域主体の諸形態・存立条件と成長戦略
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23580318
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
柏 雅之 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (40204383)
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Keywords | 中山間地域 / 集落営農法人 / 市町村農業公社 / 中山間地域等直接支払制度 / 社会的企業 / 農村ガバナンス |
Research Abstract |
2013年7月から9月にかけては、広島県庁農林水産局、広島県北広島町役場大朝地区支所、広島経済大学などとの連携と助力を得て、大朝地区での集落営農法人の多様な諸形態と連携システムに関する実態調査研究を行った。これによって、広島県独特の担い手型集落営農法人による地域農業維持システムの意義と限界を把握し得た。この方式は個別大型経営と集落営農法人が融合するタイプである。しかし、その限界が故に、旧村レベルでの新たな地域営農主体の形成が必要であることを提起し得た。11月にも大朝地区などでの再調査を行った。またその成果は12月7日に広島市で開催された広島県庁共催の中山間地域フォーラム地域シンポジウムで報告し、島根、大分など各県集落営農法人担当者にも大きなインパクトを与えた。 また秋季には、新潟県上越市清里区での広域を担う地域営農法人「グリーン・ファーム清里」が活動する山間地区(櫛池地区)の圃場調査等を行った。旧村レベルの山間地域を守る社会的企業としての同法人の意義と圃場との関連を調査し得た。 2014年1月~2月にかけては島根県庁の農業普及担当との連携で、県内の島根型と呼ばれる独自の広域連携型集落営農法人システムに関する実態調査を行った。そこでは広島方式とは異なり担い手型ではないぐるみ型集落営農法人の意義と限界を明らかにして、その限界を克服するためには、広島県の場合と同様に、旧村レベルでの地域営農法人が必要であることを明らかにした。2月には、大分県庁の協力を得て同県中山間地域における集落営農法人の意義と限界を調査分析した。2月には広島県三次地域におけるJAによる集落営農法人支援システムを調査した。3月には英国ロンドン大学経済学部(LSE)やバーミンガム大学で農村農業政策や、社会的企業の調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
広島県や島根県での集落営農法人に関する実態分析は進んでいる反面、北陸地域(新潟県、富山県等)を中心とした旧村レベルを守る地域営農法人に関する実態調査研究に遅れがみられる。集落営農法人の限界が故に、広域の旧村レベルを守る堡塁的主体形成が必要であり、またその経営持続性を高めるためには地域営農法人がイノベーションなどで連携し得る集落営農法人などを育成していく重要性を論理づけたかったが、旧村レベルの地域営農法人の実態分析がやや遅れており、2014年度の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
北陸地域(新潟県、富山県等)や福島県(昭和村等)での地域営農法人の実態分析を中心に行っていく。また、広島県や島根県等の集落営農法人に関する実態分析も同時並行して進める。さらにそうした法人の社会的企業としての意義についてコスト論的視座から分析していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年3月11日の東日本大震災によって、予定されていた福島県中山間地域をはじめとする東北の中山間地域での農村実態調査のスケジュールが大幅に遅れ、玉突き的に平成25年度まで遅れが出てしまったことがある。さらに平成24年度に早稲田大学人間科学学術院の執行部役職者を命ぜられ、学術院長補佐として多忙な学内行政を行わなければならないという予期せぬできごとが生じたため。 遅れていた東北中山間地域をはじめ、北陸、中国の中山間地域での実態分析、およびイギリスの農村社会的企業の分析を行う。
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Research Products
(4 results)