2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23580319
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Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
藤本 高志 大阪経済大学, 経済学部, 教授 (40340583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳永 光俊 大阪経済大学, 経済学部, 教授 (30180136)
渡邉 正英 大阪経済大学, 経済学部, 准教授 (50434783)
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Keywords | 地域産業連関分析 / ケインズ型地域内所得決定モデル / ノンサーベィ地域産業連関表生成モデル / CVM / 国産砂糖へのプレミアム価格 |
Research Abstract |
鹿児島県と沖縄県を対象に,地域産業連関分析により,砂糖産業が離島地域内にもたらす所得を計測した.市町村民所得計に対するその割合は,全離島地域では4.3%だったが,喜界島,徳之島,伊是名村,南大東村,北大東村,多良間村では,10%を超え,砂糖産業が地域経済を支える基盤産業であることが明らかになった.また,地域経済の維持と食料安全保障のため,国産砂糖に対して支払ってもよいと考えるプレミアム価格を,stated choice approachとelicited choice probability approachにより計測した.後者のアプローチは,調査者が十分な情報を提供できない状況で,回答に対して不確実性を許容するという特徴を持つ.結果は,前者の場合が178円/kg,後者の場合が233円/kgであった. また,地域産業連関表を,県のそれから生成するためのノンサーベィ法を提案した.この手法は,(1)県内のどの地域でも, i財の産出に占める県外移出割合は同じ, i財の需要に占める県外産割合も同じ,(2)県内交易における産業内交易は,県と県外の交易におけるそれと同様に生じる,を仮定する.この手法により,西日本の全離島の産業連関表を推計した.そして,n種類の産業から成る地域経済の所得決定をモデル化し,離島の地域所得を,中央政府の直接支出・移転支出,地域外からの純所得受取,移出,所得に依存しない消費・投資,が誘発する所得に分解した.結果は以下のとおりである.第1に,離島の経済的自立は困難と言える.なぜなら,中央政府の直接支出・移転支出が,地域内所得の50%弱を説明し,地域間所得変動の最大の原因となっている.第2に,離島経済が自立するとなれば,移出基盤産業は農林水産業と観光と言える.移出で説明できる地域内所得は約35%だが,その内の5割が農林水産業と観光による.ただし,観光は地域間所得変動の原因と言えるが,農林水産業はそうとは言えない.
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