2012 Fiscal Year Research-status Report
数値天気予報と作物の成長モデルを活用した灌漑水量の決定
Project/Area Number |
23580335
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
藤巻 晴行 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 准教授 (90323253)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 忠臣 鳥取大学, 農学部, 講師 (70515824)
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Keywords | 灌漑 |
Research Abstract |
実験1(鳥取砂丘圃場):17m×110mの圃場にトウモロコシを播種した。自動灌漑区とシミュレーション灌漑区を設け、シミュレーション灌漑区の中央に位置するウェイイングライシメータで蒸発散速度を測定した。灌漑にはチューブ間隔90cm、エミッタ間隔20cmの点滴灌漑システムを用いた。各区の12箇所にTDRと熱電対を埋設し、水分と地温の自動測定を行った。自動灌漑区では、深さ15cmのTDR2本から出力される体積含水率の平均値が0.047を下回った際に、電磁弁を用いて2.5mm灌水させた。シミュレーション灌漑区では、土壌水分移動解析プログラムWASH_2Dにより純収入が最大になるように灌水量を決定し、2日に一回灌漑を行った。初期生育期間中はシミュレーション区でも自動灌漑区と同量潅水し、発芽後44日後にシミュレーション灌漑を開始させた。 その結果、期間中の潅水量は自動灌漑区が135mm,シミュレーション灌漑区は134mmとなり、ほぼ等しくなった。乾物生産量は自動灌漑区の1.4t/haに対し、シミュレーション灌漑区は1.7t/haであり、シミュレーション灌漑区の方がより効率的に潅水できていることが示唆された。ただし、残念ながら雑草の繁茂により両区とも乾物生産量は標準を大きく下回り、虫害により子実収量も比較に耐える数量とはならなかった。水分の数値解はセンサーによる実測値に概ね一致させることができた。 実験2(チュニジア南部砂地圃場):上記と同様の栽培実験を供試作物を大麦として行った。チューブ間隔40cm、エミッタ間隔20cmの点滴灌漑システムを用いた。自動灌漑区では、深さ10cmの土壌水分プローブ2本から出力される体積含水率の平均値が0.1を下回った際に20mm灌水させた。シミュレーション灌漑区では4日に一回灌漑を行った。 その結果、潅水量あたりの収量は自動灌漑区の方がやや高い結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2次元数値モデルによる点滴灌漑の実験を実施できた点は計画以上の進展であるが、作物の栽培管理が不適切であったために、学術論文にふさわしい質のデータは得られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
鳥取砂丘圃場で昨年度と同様の条件で栽培実験を反復する。除草や農薬散布を十分に実施し、質の高いデータを得る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
高価なTDRシステムが故障した場合に備え、除草や農薬散布の作業委託費用を節約したために繰り越しが生じた。次年度では除草や農薬散布に十分な費用を投じる予定である。
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Research Products
(3 results)