2013 Fiscal Year Annual Research Report
ルーラルフリンジにおける野生動物の生息域-農業集落間のバッファーゾーンの設計理論
Project/Area Number |
23580337
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
武山 絵美 愛媛大学, 農学部, 准教授 (90363259)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
九鬼 康彰 岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (60303872)
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Keywords | 獣害 / バッファーゾーン / イノシシ / 土地利用 / GIS / コリドー |
Research Abstract |
武山は,西条市丹原町川根地区を対象に,集落周辺の山林における間伐作業が,イノシシ,シカ,サルの出没状況に与える影響を調査した.その結果,日中に活動するサルについて,山林における人間の活動がこれを牽制する効果を持つことがわかった.一方,夜間に活動するイノシシおよびシカは,間伐作業の影響を受けず,行動に変化が見られないこともわかった. 次に,武山は,松山市宇和間地区を対象に,GISを用いて地理的条件を分析し,山林および耕作放棄地の連結によるバッファーゾーンの消失とイノシシの移動コリドーの形成状況について分析した.その結果,既存の山林と山林の間に放任樹園地が発生することで,イノシシの生息地の集塊性が高まり,バッファーゾーンとしての山間農地の役割が消失することがわかった. 九鬼は,バッファゾーンの適切な維持管理を左右する要因について検討した.調査は滋賀県東近江市と甲賀市で設けられたバッファ(各々24,22箇所)を対象に行われた.その結果,維持管理が個人に任せられているのかそれとも集団で管理を行っているのかの違い,バッファ設置時における自治体の維持管理に対する具体的な指導の有無が共通して見通しに影響していることが得られた.また,竹植生が少ないバッファでは面積の大小が見通しを左右している他,竹植生が多いバッファでは当該地が私有よりも共有である場合や,住民の維持管理に対する認識として多様な効果を期待している場合に見通しの良い管理が行われていることが明らかになった.以上のことから獣害対策としてバッファを行う場合には,候補地の所有形態のほかにバッファの効果や維持管理の方法について話し合う機会を設けること,また設置後の見回りへの配慮が重要であることを指摘した.
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Research Products
(2 results)