2012 Fiscal Year Research-status Report
気候変動で頻発が予想される中小規模の高潮災害低減技術の開発
Project/Area Number |
23580341
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Research Institution | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
Principal Investigator |
桐 博英 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究所水利工学研究領域, 主任研究員 (60360385)
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Keywords | 高潮 / 海岸堤防 / 気候変動 |
Research Abstract |
本研究では、気候変動の結果増加すると考えられる比較的小規模な高潮の被害を減らすため、既存堤防の上部に設置し、高潮の際に自動で起立する補助堤防を開発する。 24年度は,23年度に設計した補助堤防のプロトタイプの模型を製作し、高潮に伴う水位上昇で起立する動作が想定どおり行われるかを水理模型実験により検証した。補助堤防のプロトタイプでは、「く」の字型に折り曲げた堤防遮水板を稼働式のフレームで固定し、堤防遮水板に取り付けたフロートの浮力で堤防が起立する機構とした。 水理模型実験では、海岸堤防上部を模擬した台の上に上述の補助堤防を取り付け、海側の水位上昇および波浪を作用させた場合のフロートの動作機構と陸側への漏水を観察した。 水理模型実験の結果、設計した起立機構が単純な構造でありながら動作が安定して起立することが確認された。また、設計した補助堤防の起立動作に必要な浮力の大きさを計算するとともに、水位変動への追従性がよくなるよう、堤防遮水板の屈曲角度を選定した。さらに、フロートが浮上して堤防遮水板が起立し補助堤防を形成した際の漏水を抑えるため、遮水用のガイドレールを設置し、その形状を確定した。 24年度に行った水理模型実験により、補助堤防の形状をほぼ確定することができた。なお、補助堤防を複数連続して設置した場合のつなぎ目の処理を検討するための水理模型実験は、模型の設計までを行ったところで使用する実験水路のスケジュールが合わず、次年度に実施することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
補助堤防を連続して設置した場合の水理模型実験は最終年度に実施することとしたが、補助堤防の動作機構の確認とプロトタイプの確定ができたため、研究計画は順調に進捗していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
補助堤防を連続して設置した場合の水理模型実験を速やかに実施する。また、設計波高に対して補助堤防の部材に必要な荷重を計算し、構造設計を確定し、実スケールの模型をもちいた水理模型実験を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
補助堤防を連続して設置した場合の水理模型実験に用いる水理模型の製作費を次年度に使用することとした。これは、当初,24年度に実施する予定であったが、必要な材料の調達に時間を要し、他の実験とスケジュールを変更したことによる。 25年度に請求する研究費は、実験のデータ収録用の機材の購入(35万円)および実スケールを対象にした水理模型実験の模型製作費(115万円)に使用する。
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