2011 Fiscal Year Research-status Report
氷結晶成長過程の可視化による品質劣化抑制のための食品冷凍技術の確立
Project/Area Number |
23580347
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
岩本 悟志 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (00373233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西津 貴久 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (40228193)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 農業情報 / 界面科学 / エマルション |
Research Abstract |
食品が冷凍される際,食品中の水が相変化し氷結晶が必要以上に大きく成長してしまうと,食品内部の微細構造や組織が破壊され,その品質が著しく劣化する.氷核の成長や水と細胞膜および組織との境界(界面)での氷結晶成長のメカニズムを明らかにして,食品の品質を維持できる冷凍条件を策定する.本研究では,顕微鏡観察に適した単分散油中水滴型エマルションを用いることにより,水滴界面での凍結現象を可視化して,界面での氷結晶成長過程を解析し,品質劣化の少ない冷凍食品の製造法を確立する.本年度は(1)単分散微細水滴エマルションの調製、(2)単分散水滴エマルションの熱物性測定および(3)氷結晶成長観察システムの構築の3項目について研究を実施した。(1)については、マイクロチャネル(MC)乳化装置を用い単分散エマルションを作製した。単分散水滴エマルション作製に適した油相については,ヘプタンを用いることで、液滴径の相対標準偏差が10%未満の単分散エマルションを作製することに成功した。(2)については、(1)で調製したエマルションの熱物性を示差走査熱量計(DSC)で測定した.連続相,分散相ならびに水滴エマルションの凝固・融解曲線からそれぞれ,凝固温度,融解温度ならびに凝固エンタルピー,融解エンタルピーを算出に成功した。単分散エマルションを用いることで、これまで困難であったDSC曲線の詳細な解析が可能になった。(3)については、顕微鏡視野の冷却に必要な冷熱源に低温の窒素ガスを送風するシステムを採用し調製を行った。精密な温度制御や観察面の結露防止に一部課題が残っているが、第一段階のプロトタイプは、完成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は(1)単分散微細水滴エマルションの調製、(2)単分散水滴エマルションの熱物性測定および(3)氷結晶成長観察システムの構築の3項目について研究を実施した。本年度の実施項目については、(1)MC乳化法を用いることで、液滴径の相対標準偏差が10%未満の単分散エマルションを作製することに成功した。また(2)については、連続相,分散相ならびに水滴エマルションの凝固・融解曲線からそれぞれ,凝固温度,融解温度ならびに凝固エンタルピー,融解エンタルピーを算出に成功した。MC乳化法で調製した単分散エマルションを用いることで、水の凍結を反映する凝固ピークが詳細に確認され、これまで困難であったエマルションのDSC曲線の詳細な解析が可能になった。したがって熱分析から定量的な物性値を得ることができ順調にデータが蓄積されている。(3)の氷結晶成長観察システムの構築については、若干の遅れが生じているがプロトタイプが完成した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は今年度の結果を基に、次の項目(4)単分散水滴エマルションのゼータ電位の測定ならびに(5)氷結晶成長の観察について研究を実施する。(4)については水滴間の斥力を反映するゼータ電位を様々な乳化剤で調製されたエマルションについて測定し数理モデル構築の基礎データとする.(5)については、本年度に構築した氷結晶成長観察システムを用いて,水滴界面での氷結晶成長および氷結晶連結を詳細観察する.得られた画像から氷結晶の形状計測し,結晶の大きさの変化から結晶成長速度および氷結晶連結成長速度を算出する.研究に使用するMC 乳化装置・倒立型位相差蛍光顕微鏡・カールフィッシャー水分計は,研究代表者が現在所属している食品素材科学研究室のものであり,それらの稼働状況も良好である.エマルション水滴の熱分析に必須な高感度DSC また水滴のゼータ電位測定に必須のゼータ電位計は,岐阜大学生命科学総合研究支援センターに設置されており,専任の職員によって常に稼働良好の状態にあるので,予約すれば容易に使用することができる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究では,エマルションの調製,氷結晶成長観察システムの構築,熱分析およびゼータ電位測定に対して,備品と消耗品である試薬類,器具類, MC 基板などに研究経費のほとんどを使用する.今年度は、観察システムの構築が難しく、予定していたエマルション観察のための蛍光試薬など購入が少なかったための繰越金が生じたが、次年度は、氷結晶の観察に必要な蛍光試薬の購入にあてる。次年度以降は,消耗品として同様のMC 基板が必要であり,また試薬や実験器具類が必要となる.
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