2012 Fiscal Year Research-status Report
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23580350
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
疋田 慶夫 愛媛大学, 農学部, 教授 (50127908)
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Keywords | 流通 / 青果物 / 品質 / MAP |
Research Abstract |
本研究は,従来の低温・少量MAP(Modified Atmosphere Packaging)の技術を常温下における15kg程度の大容量MAPに発展させ,産地における新しい高品質貯蔵体制の構築を目指すものである。すなわち,O2,CO2,N2,水蒸気の物質移動に加えて,包装内部での呼吸熱の発生と包装資材の伝熱特性および資材を通しての熱移動を加味した大容量MAPの数学モデルを構築し,外気の温・湿度が変動する条件下におけるガスおよび熱移動を計算するコンピュータ・プログラムの作成と併せて,生産地での貯蔵環境に即した包装設計により高品質な貯蔵体制を目指す。 大容量MAPの数学モデル(5元連立微分方程式)を基に,シミュレーション・プログラムを完成した。10kg単位のポンカンとタンゴール清見を利用して,5および10℃にける包装内部でのガス濃度(O2,CO2)の分布を測定した。また,包装資材の伝熱特性である熱貫流率を測定するための実験装置を作製し,2種類の資材の熱貫流率を測定した。併せて,10kg単位のイヨカンを利用して,プログラムによる計算結果を検証するための室内実験を実施し,包装内の温度とO2,CO2,N2および水蒸気濃度の変化を測定して,計算結果と比較した。ここでは,品質指標として糖および酸,またエタノール含有量の変化を測定した。 包装内部でのガス濃度の分布はほぼ均一で,濃度分布を調節するためDiffusion Channelの導入は必要とせず,均一な濃度分布の条件でシミュレーションを行えばよいことが分かった。プログラムによる計算結果は,概ね測定結果と一致したが,蒸散と水分凝縮による蒸発潜熱を導入することによって,さらなる計算精度の向上が示唆された。 これまでの研究結果を整理・検討し,学会で発表するとともに,一部を論文として公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生成24年度に計画した①プログラムによる計算結果を検証するための室内実験は,現在も進行させている,②包装資材の熱貫流率の測定については,一部の資材で結果を得た,③包装内部でのガス濃度分布については,均一性を実験により確認することができた。今後も①および②は継続して実施し,実験結果を基にして大容量MAPのための数学モデルとシミュレーション・プログラムを修正・改善する計画であるが,学会発表と論文の公表は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の大幅な変更は考えていない。プログラムによる計算結果を検証するための室内実験と包装資材の熱貫流率の測定を継続して実施し,この実験結果を基にして大容量MAPのための数学モデルとシミュレーション・プログラムを修正・改善する計画である。最終的に完成したプログラムにより,生産地での貯蔵環境(温・湿度)を利用した計算を種々の包装資材で実施して,断熱効果,結露の緩和効果などから最適な包装設計による貯蔵体制を提示する計画である。また,得られた結果を学会で発表するとともに,論文として公表する計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
プログラムによる計算結果を検証するための室内実験と包装資材の熱貫流率の測定,また生産地での貯蔵を模した実証試験を実施するための消耗品と謝金,および学会発表・情報収集のための旅費,論文投稿料として使用する。
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