2011 Fiscal Year Research-status Report
近赤外分光法と可視光画像を統合した米のアミロース含量の非破壊分析法の開発
Project/Area Number |
23580354
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
川村 周三 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80161363)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 米 / アミロース含量 / 非破壊分析法 / 近赤外分光法 / 可視光分析法 |
Research Abstract |
米の成分を簡便で迅速に測定する手法として近赤外分光法が実用化されている。ところが,近赤外分光法により米の水分含量やタンパク質含量は精度良く測定可能であることが確認されているが,従来からアミロース含量の測定精度は不十分とされており,その測定技術の開発が望まれている。そこで,近赤外光に加えて可視光を組み合わせ,米のアミロース含量を測定することを試みた。 アミロース含量測定の検量線は以下に示す2段階の検量線作成により行った。1)近赤外分析計によるアミロース含量測定の検量線をPartial Least Squares (PLS) 回帰分析により作成し,その検量線を用いてアミロース含量を測定した。2)上記で作成した検量線により測定したアミロース含量に,穀粒判別器(可視光を用いた米の外観品質測定装置)で測定したred, green, blue (RGB)情報を加えて,新たに重回帰分析によりアミロース含量を測定する検量線を作成した。これら作成した検量線の精度を検証した。アミロース含量の基準分析として,多波長スペクトル型オートアナライザーを用いて呈色比色法によりアミロース含量を測定した。 1)で作成した検量線の精度は,決定係数(r2)=0.96であったが,Bias, Standard Error of Prediction (SEP) ともに大きく,近赤外分光法による米の水分やタンパク質含量の測定精度と比較すると良くなかった。2)で作成した検量線は,従来より高い精度で米のアミロース含量を測定できることを示し,この精度はRatio of SEP to Standard Deviation (RPD) 法による評価で品質仕分けに適用可能であることが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
米のアミロース含量の測定において,従来から近赤外分光法のみではその測定精度は高くなかった。本研究により近赤外光に加えて可視光による米の情報を用いると,アミロース含量の測定精度が向上するとの仮説が正しいことが実証された。このことは大きな成果であり,米の生産現場におけるアミロース含量測定の実用化の端緒を開くものとなる可能性が高い。
|
Strategy for Future Research Activity |
上記の「研究実績の概要および達成度」で予想以上の良い結果が得られたと述べた。しかし,上記の結果は1年の実験結果である。よく言われるように,米を含む農産物を対象とした研究では対象物の年次間変動や産地間変動がある。そのため,数年にわたり各地の生産地から試料(米)を収集し,結果の再現性の確認とデータの蓄積が重要となる。 そこで,当初の研究計画にあるように,2012年産米および2013年産米を北海道各地から収集し,研究結果の再現性の確認をおこなう。同時に,米のアミロース含量測定の実用化を想定したロバストな(robust)安定した検量線の作成を目指す。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
-
|
Research Products
(3 results)