2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23580356
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
齋藤 高弘 宇都宮大学, 農学部, 教授 (50221990)
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Keywords | 蛍光 / 麹菌 |
Research Abstract |
蛍光強度と他の指標との関係はR2=0.874~0.971高い相関を示した。また、α-アミラーゼ活性、酸性カルボキシペプチダーゼは活性の立ち上がりや定常期に入る時間帯が蛍光強度と同様であった。これに対しグルコアミラーゼ活性、α-グルコシダーゼ活性は培養26時間まで活性増加があまり見られず、30時間頃から急激に活性が増加し45時間程度でほぼ安定し、蛍光強度とはやや異なる経過をとった。このように、蛍光強度は麹菌体量、α-アミラーゼ活性、酸性カルボキシペプチダーゼと類似した値の推移を示した。培養終期における蛍光強度の減少や、滅菌する事によるピークの消失から、特定成分を直接的に捉えているとは考えにくく、本手法は生菌が発する生体エネルギーに由来するものが大きく関与していると推察された。そこで、生物体のエネルギー源であるATPと蛍光強度との関係を検討した。ATPと蛍光強度は麹菌の増殖後期まで連動した値の推移を示し、培養終期には蛍光強度と同様にATPにも値の減少が確認された。以上の事から本手法は、ATPなどの生体エネルギーや麹菌の生産物などを総合的に捉えている可能性があると考えられた。そのため、製麹工程だけでなく酒母や醪など酒類製造現場における他の微生物評価にも発展が期待できる。 本研究をまとめると、麹菌を測定するには励起波長410nm、検出波長630nmが最適と判断された。殺菌した米麹からは蛍光のピークが消失したため、この蛍光は菌の活性に由来するものと考えられた。また、本手法は含水率やグルコース濃度の影響を受けない事が明らかになった。蛍光強度は麹菌体量や酵素活性と高い相関が得られ、これらを評価するのに利用適性が高いと考えられた。
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Research Products
(1 results)