2013 Fiscal Year Annual Research Report
発色剤無添加食肉製品の品質に及ぼす亜鉛プロトポルフィリンIXの影響
Project/Area Number |
23580362
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
若松 純一 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (30344493)
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Keywords | 亜鉛プロトポルフィリンIX / 食肉製品 / 色調 / 亜鉛 |
Research Abstract |
本研究は、発色剤無添加食肉製品で特異的に形成する亜鉛プロトポルフィリンIX(ZnPP)を用いて、発色剤無添加の食肉製品の色調改善技術開発をするとともに、色調以外の付加価値の可能性を検証することである。これまでの検討で骨格筋によってZnPPの至適pHが異なる可能性ならびに、筋線維型によってZnPP形成能が異なる可能性が示された。 そこで平成25年度は、ZnPPによる食肉製品の色調改善技術のための基礎的データを得ることを目的に、各種豚骨格筋のZnPP形成に及ぼす筋線維型割合とpHとの関係を調べた。また、筋線維によるZnPP量の違いが筋線維型や筋線維型固有の特性に依存するのか、形態学的に検討した。 豚3頭から20種(計60サンプル)の骨格筋について、ZnPP形成に及ぼすpHの影響を調べたところ、従来の至適pH(pH 5.5)とは異なる至適pHを持つものが存在し、従来の至適pHよりもZnPP形成能が高い骨格筋もあることを明らかにした。また、この至適pHにおけるZnPP形成量は遅筋型筋線維型の割合と有意に正に相関し、速筋型筋線維型の割合と有意に負に相関したが、従来の至適pHでは筋線維型の割合と相関性が示されなかった。パルマハムにおけるZnPPの分布を観察したところ、遅筋型・中間型筋線維で多く存在すること、ミトコンドリアと一致することから、ミトコンドリアが形成に深く関与することが示唆された。このことから、遅筋型筋線維の多い部位を用いて、今回明らかにした至適pHで製造すると、一昨年の結果以上にZnPPが多い食肉製品を製造できる可能性を示した。 本研究期間を通して、ZnPPによる亜鉛吸収促進効果は残念ながら認められなかったが、食肉製品中のZnPP形成能を高めて、色調改善できることを明らかにした。
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Research Products
(3 results)