2013 Fiscal Year Annual Research Report
栄養処理による食肉の呈味制御:遺伝子発現及びメタボローム解析による高品質化
Project/Area Number |
23580366
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
藤村 忍 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (20282999)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門脇 基二 新潟大学, 自然科学系, 教授 (90126029)
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Keywords | 食肉 / 筋肉 / 飼料 / アミノ酸 / グルタミン酸 / 代謝 / 呈味成分 / メタボローム |
Research Abstract |
食肉の高品質化の中で呈味向上に対する期待は大きいが、効率的かつ有効な手法は未だに模索されている。従来の高品質化手法は遺伝(育種)及び食肉加工が主であった。生産段階で育種よりも短期間に高品質化を図る方法の一つに飼養管理があるが、呈味成分は飼料では変わらないとされてきた。筆者の検討から一部の飼料成分が呈味成分に影響する可能性を見出した。当初は低エネルギーや食事制限による呈味成分量低下であったが、高タンパク質飼料で主要呈味成分の一つであるグルタミン酸(Glu)が増加する可能性を得た。しかし高タンパク質は飼料コストや環境負荷の点から実用化の可能性が低く、微量の調節因子の可能性を検討した。そこでリジン(Lys)および分枝アミノ酸(BCAA)にグルタミン酸量の調節及び肉質向上の可能性を見出し、本研究においてその効果並びに作用機序を検討した。その結果、BCAA量の調製によるGlu増加条件が明らかとなった。メタボローム解析からTCA回路の中間代謝物への影響が見られた。しかしmRNA遺伝子発現解析では律速酵素の発現には差がなく、リン酸化または他の要因が関与する可能性が示された。一方Lysの0.5%飼料添加は筋肉の遊離Lys濃度を有意に増加させ、遊離Gluも有意に増加した。血漿Glu濃度は変化しなかった。筋肉を試料とした遺伝子発現解析の結果、Lys異化の律速であるLys-αケトグルタル酸レダクターゼの発現は有意に増加した。メタボローム解析からLys代謝物であるサッカロピンやαアミノアジピン酸等も増加した。これらから筋肉でLys異化が生じる可能性が示された。このLys異化は鶏で2経路が存在するがピペコリン酸投与の検討からGlu合成に関してはサッカロピン系が主体と推察された。以上により、飼料に起因する筋肉のアミノ酸代謝が食肉の呈味成分の生合成に影響し、また呈味に影響する可能性が明らかとなった。
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