2012 Fiscal Year Research-status Report
外来牧草の雑草化リスクに及ぼす草地の種多様性の影響
Project/Area Number |
23580372
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
西脇 亜也 宮崎大学, 農学部, 教授 (60228244)
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Keywords | 外来牧草 / 種多様性 / 雑草化 / 温暖化 / 在来種 |
Research Abstract |
本研究は「外来牧草の雑草化防止に及ぼす草地の種多様性の影響」を、野外調査と野外実験によって解明することにより、生物多様性の重要な要素である種多様性が持つ頑強性の程度を評価する試みである。 1、都井岬における外来牧草の雑草化の進行状況の把握:宮崎県串間市都井岬の岬馬放牧地(国指定天然記念物)では外来牧草の雑草化が進行中であるので、毎月の調査を継続したところ、小松ヶ丘では雑草化が進行していたが現在でも扇山では進行していなかった。 2.外来牧草の雑草化の要因解析:小松ヶ丘地区での外来牧草の雑草化は放牧圧の増加にともなう放牧草地の種多様性の減少と平行して生じていた。そこで、種多様性の高さと外来牧草の雑草化に関する要因解析実験を継続した。在来種の密度と種多様性の影響:ポット栽培によって在来種の密度と種多様性が外来牧草の増加に及ぼす影響を検討した結果、在来種の密度と種多様性が高い場合ほど外来種の増加を防ぐことが示された。小松ヶ丘における高い放牧圧による在来種の除去による裸地の形成が外来牧草の増加をもたらしていたと考えられ、在来種の密度と種多様性が高い場合ほど外来種の増加を防ぐことが明らかとなった。裸地に速やかに定着可能な在来植物種は外来牧草の侵入・優占に対する抵抗性の重要な要素であると考えられる。今後は、放牧馬の蹄傷による裸地形成に注目し、在来植物や外来牧草の裸地への侵入・定着能力の差について検討することが必要であると考えられた。 3.都井岬と同様に暖地型の外来雑草が侵入・優占化している地域がどの範囲に存在するのかについて、日本各地でGPS記録機能があるデジタルカメラによって分布調査を行った結果、関東の房総半島、紀伊半島、淡路島、九州など主に南海に面した地域で暖地型の外来雑草が侵入・優占化している実態が明らかとなってきた。今年度は四国を含めより広範囲の地域についても調査を継続したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は「外来牧草の雑草化防止に及ぼす草地の種多様性の影響」を、野外調査と野外実験によって解明することにより、生物多様性の重要な要素である種多様性が持つ頑強性の程度を評価する試みである。 まず、1、都井岬における外来牧草の雑草化の進行状況の把握:宮崎県串間市都井岬の岬馬放牧地(国指定天然記念物)では外来牧草の雑草化が進行中であるので、毎月の調査を継続したところ、小松ヶ丘では雑草化が進行していたが現在でも扇山では進行していないことがさらに明らかとなった。 次に、2.外来牧草の雑草化の要因解析:小松ヶ丘地区での外来牧草の雑草化は放牧圧の増加にともなう放牧草地の種多様性の減少と平行して生じていた。そこで、種多様性の高さと外来牧草の雑草化に関する要因解析実験を継続した結果、在来種の密度と種多様性が高い場合ほど外来種の増加を防ぐことが示された。小松ヶ丘における高い放牧圧による在来種の除去による裸地の形成が外来牧草の増加をもたらしていたと考えられ、在来種の密度と種多様性が高い場合ほど外来種の増加を防ぐことが明らかとなった。裸地に速やかに定着可能な在来植物種は外来牧草の侵入・優占に対する抵抗性の重要な要素であると考えられる。今後は、放牧馬の蹄傷による裸地形成に注目し、在来植物や外来牧草の裸地への侵入・定着能力の差について検討することが必要であるとする重要な研究方向性が得られた。 最後に3.都井岬と同様に暖地型の外来雑草が侵入・優占化している地域がどの範囲に存在するのかについて、日本各地でGPS記録機能があるデジタルカメラによって分布調査を行った結果、関東の房総半島、紀伊半島、淡路島、九州など主に南海に面した地域で暖地型の外来雑草が侵入・優占化している実態が明らかとなってきた。今年度は四国を含めより広範囲の地域についても調査を継続することが必要である。 以上より、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
1.2000年から本格的に調査を実施してから今年で14年目となり、すでに1404個の調査枠データを集積したが都井岬の12地点の植生調査と現存量調査を今年度も毎月はじめに実施する。 2.放牧圧を人為的に3年前から軽減した現地での実験区3カ所とその対照区3カ所の植生調査を今年度も継続する。 3.放牧馬による裸地形成頻度と外来雑草の侵入定着との関係に関する広域調査をGPS記録機能があるデジタルカメラによって今年度から開始する。 4,四国を含めた日本のより広範囲の地域について暖地型牧草の雑草化実態の調査を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1, 栽培実験や調査に必要な資材費、謝金 2, 分布調査に必要な旅費
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Soil carbon stocks and carbon sequestration rates in seminatural grassland in Aso region, Kumamoto, Southern Japan2013
Author(s)
Yo Toma, John Clifton-Brown, Shinji Sugiyama, Makoto Nakaboh, Ryusuke Hatano, Fabián G Fernández, J Ryan Stewart, Aya Nishiwaki, Toshihiko Yamada
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Journal Title
Global Change Biology
Volume: ?
Pages: ?
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Genetic Analysis of Putative Triploid Miscanthus Hybrids and Tetraploid M. sacchariflorus Collected from Sympatric Populations of Kushima, Japan2013
Author(s)
Maria S. Dwiyanti, Arthur Rudolph, Kankshita Swaminathan, Aya Nishiwaki, Yoshiko Shimono, Shotaro Kuwabara, Hiroya Matuura, Marhamah Nadir, Stephen Moose, J. Ryan Stewart, Toshihiko Yamada
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Journal Title
BioEnergy Research
Volume: ?
Pages: ?
DOI
Peer Reviewed
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