2011 Fiscal Year Research-status Report
近接センシング技術を利用した放牧地一次生産力の時空間変動解析
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23580379
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
坂上 清一 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター・酪農研究領域, 主任研究員 (10414757)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 牧草量 / 分光放射計 / 地理統計 / kriging法 / 不均質性 / 動態モデル |
Research Abstract |
1)キャリブレーションモデル 牧草量を非破壊的に求めるための携帯型分光放射計に関するキャリブレーションを行う。牧草量分布の定点観測時に、牧草量の最小量から最大量までをカバーするようなサンプリング地点を複数選択し、植生の分光放射率を放射計によって測定した。また、分光放射計による草量推定法のクロスチェックのため、圧縮草高から牧草量を推定するライジングプレートメータでの測定も同時に行った。30cm×30cm内部の地上部植生を刈取り、主要草種ごとに生存部、枯死部に分け、乾燥重量と粗タンパク質含有率を求めた。分光放射率から牧草量あるいは粗タンパク質含有率を推定するためのキャリブレーションモデルとして、偏最小二乗回帰モデルを利用する予定である。 2)センシング間隔 試験圃場内に40m×40mの定置方形区を設置し、内部を1m×1mの格子に区切り、格子頂点の分光放射率を測定した。1-数十mの格子サイズそれぞれで抽出した牧草量データにkriging法を適用し、その分布状態の推定結果から牧草量の平均的パッチサイズを計算した。牧草量のパッチサイズに関する情報等を損なわないよう、適切な解像度の格子サイズをセンシング間隔として選択・決定した。パッチサイズには季節変動のあることが予想されるので、この調査を春・夏・秋期において一回ずつおこない、最小のセンシング間隔を次年度以降のモニタリングのために利用する。 ライジングプレートによる推定によると、牧草量分布に偏りが顕著な夏季において、精度の高い牧草量分布を把握するためには少なくとも10m以下のサンプリング間隔で調査する必要があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
携帯型分光放射計に関するキャリブレーションに関しては、データは取得しているものの、実際のモデルの作成および精度を確認中である。また、クロスチェックのためのライジングプレートメータ法はそれなりの精度で牧草量推定が可能であったので、それと同等以上の推定精度を得られるよう検討中である(やや遅れ)。 牧草量の平均パッチサイズと調査サンプリング間隔は決定できたので、次年度の定点測定の際に活用できる(順調に進展)。 次年度以降に研究予定であった一次生産力推定に関しては、ライジングプレートメータ法を適用し試行測定を行った。季節ごと牧草量ごとに、対応する一次生産力を取得できたので、時空間分布モデルを検証するためのデータとして期待できる。また、従来の収穫法よりも簡便、広範囲に生産力を把握できる(計画以上)。
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Strategy for Future Research Activity |
携帯型分光放射計に関するキャリブレーションに関しては、早期にモデルの作成および精度を確認し、実際の牧草量・一次生産力分布データの解析のため適用できるようにする。 試験圃場内に定置方形区を設定し、前年度決定した調査用格子サイズに区切り、格子の頂点における分光放射率を放射計で測定する。牧草量分布の時間的消長を追跡するため、調査間隔は放牧期間中2-4週間を予定している。得られた牧草量データから、kriging法によってその分布状態を推定する。次いで、マッピングに関する地理統計学的モデルにより、放牧地における牧草量分布の特徴を解析する。 定置方形区内における牧草量分布データそれぞれに対応する一次生産力データから、kriging 法によって一次生産力の分布図を作成する。マッピングに関する地理統計学的モデルにより、その分布の特徴を解析する。また、拡張型ロジスティック成長モデルを適用・改良し、牧草量の時空間変動のための動態モデルを構築するとともに変動の特徴解析と短期的予測をおこなう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究課題の推進のため、次年度の研究費は、交付申請時の計画どおり使用する。なお、次年度使用額64,263円は、研究費を効率的に使用して発生した残額であり、次年度に請求する研究費と合わせて研究計画遂行のために使用する。 禁牧区を設置するため、携帯型の電気牧柵が必要である。 標準的は放牧地の施肥管理のために土壌改良資材と化成肥料を必要とする。 約6ヶ月間の放牧期間中、2-4週間毎の定点観測や分光放射計のキャリブレーションのためのサンプリングに労力を要し、引き続き、大量のデータ整理もおこなわなければならない。したがって、現場での調査準備と調査補助、屋内での草分け・秤量・分析用試料調整、およびデータ処理等のために補助員を雇用する。 草質推定に関する放射計のキャリブレーションを確実なものとするため、次年度もサンプリングした牧草の化学分析を外注するための費用を要する。 研究成果の公表のため、関係学会への参加に要する旅費、学術論文の英文校閲費、投稿料および別刷代を必要とする。
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Research Products
(2 results)