2011 Fiscal Year Research-status Report
中枢に作用する新規機能性飼料が家畜の内分泌とその生産量に与える影響に関する研究
Project/Area Number |
23580381
|
Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
新宮 博行 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産草地研究所家畜生理栄養研究領域, 主任研究員 (40355219)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 生理学 / ストレス / アミノ酸 / 反芻動物 / 抗酸化物質 |
Research Abstract |
本研究課題は、新規機能性飼料給与による家畜飼養管理技術の開発に向け実施する。平成23年度実施研究課題では、4ヵ月齢の離乳済み乳用種育成子牛6頭を供試して、芳香族アミノ酸のトリプトファン(Trp)の投与時間帯(昼間帯と夜間帯)別静脈内連続投与が子牛のセロトニン(5-HT:精神安定・抗鬱作用、ストレス耐性度増大作用)、メラトニン(MEL:生体リズム調節作用、免疫系賦活作用、抗酸化作用)、成長ホルモン(GH:成長促進作用)の分泌動態に及ぼす影響について検討を行った。当該試験では、供試牛を昼間帯投与群(12:00~14:00)と夜間帯投与群(19:00~21:00)2群に配置し、さらに、各群を、生理食塩水投与区、加糖生理食塩水投与区(糖:2.7 mg/(kgBW・min))、Trp溶液投与区(Trp:0.3 mg/(kgBW・min))、加糖Trp溶液投与区からなる4つの処理区に配置した。各処理区では、子牛の左頸静脈内留置カテーテルより各溶液を120分間連続定速投与し、右頸静脈内留置カテーテルより採血を行った。採取した血液から各ホルモンの血漿濃度を測定した後、投与開始後210分間における各ホルモンの分泌変化量の指標を算出し、比較を行った。 当該試験成績を精査した結果、昼間帯のTrp投与により、子牛の5-HT及びGHの分泌量が増加する傾向を示したが、MELの分泌量は影響を受けなかった。一方、夜間帯のTrp投与により、5-HTの分泌量は見かけ上大きな影響を受けなかったが、MELの分泌量は顕著に増大するとともに、GHの分泌量も増加する傾向を示した。これにより、Trpの末梢投与は、投与時間帯に関係なく、子牛体内での5-HT合成を促進させる可能性があり、特に、夜間帯でのTrp投与は、MELの合成及び分泌を顕著に増加させることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度に実施した育成子牛に対する末梢血へのTrpの連続静脈内投与試験では、Trpの投与は子牛の内因性5-HT及びMELの分泌動態に大きな影響を与えるとともに、これら分泌動態が明暗の時間帯(昼間帯・夜間帯)で大きく異なることが判明した。このように、当該研究課題は、現在までほぼ計画どおりに遅滞なく進捗しており、これに伴う成果も得られている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成23年度実施研究課題成果から、家畜に対するTrp投与による内因性ホルモンの分泌動態に及ぼす生理学的効果の発現には、Trpを投与する時間帯が重要になってくることが明らかにされる一方、Trpの投与方法の相違(静脈内投与と経口給与)がTrpの生理学的効果に及ぼす影響については依然不明な点が多い。 平成24年度以降では、Trpにルーメンバイパス処理(脂肪酸カルシウムによるTrpの表面被覆処理)を施したルーメンバイパスTrp飼料(RP-Trp)と、Trpと糖の混合体に同処理を施したルーメンバイパス加糖Trp(RP-[Trp+Gluc])を新規に作出し、当該飼料を家畜(育成子牛)に対して単回、短期、並びに、長期に経口給与させることにより、健康の維持・増進、生産量(成長量)の増加、ストレス耐性度の亢進等を同時に実現させる、ルーメンバイパスアミノ酸を用いた家畜飼養技術の開発に着手する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究課題の推進のため、次年度の研究費は、交付申請時の計画どおり使用する。なお、次年度使用額71562円は、研究費を効率的に使用して発生した残額であり、次年度に請求する研究費と合わせて研究計画遂行のために使用する。
|
Research Products
(1 results)