2014 Fiscal Year Annual Research Report
中枢に作用する新規機能性飼料が家畜の内分泌とその生産量に与える影響に関する研究
Project/Area Number |
23580381
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
新宮 博行 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産草地研究所家畜生理栄養研究領域, 主任研究員 (40355219)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 生理学 / ストレス / アミノ酸 / 反芻動物 / 抗酸化物質 / 成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題はセロトニン及びメラトニン(MEL)の前駆物質であるトリプトファン(Trp)又はTrpと糖を育成途上にある子牛に給与することにより、ストレスに対する適応性の改善効果、並びに、健全な発育に必須である内分泌(MEL、成長ホルモン(GH)等)の分泌機能の向上効果を期待する家畜飼養管理技術の開発に向け実施する。平成26年度では、ルーメン(第一胃)内で極力分解を受けないよう加工処理したTrp飼料(ルーメンバイパスTrp飼料:RP-T)及びルーメンバイパスグルコース(RP-G)を長期夜間給与することにより、乳用種育成子牛の内分泌及び成長に及ぼす効果の発現について追試調査を行った。その結果、賦形剤給与時に比べ、RP-T単独給与時及びRP-T+RP-G併給時の方がMEL、GHの分泌が亢進し、給与期間中の体重も有意に増加した。しかし、RP-Tに添加したRP-Gの効果は当該因子を増加させる傾向を示すが有意な差異としては認められなかった。 研究期間全体を通じて、アミノ酸飼料を利用した反芻家畜の健康の維持、健全な発育、生産物の向上、ストレスの緩和等の効果を発現させる家畜飼養技術の開発に資する試験を数段階に分けて実施した。Trpの投与時即反応性を調査するためにTrpの静脈内連続投与試験を行い、その有効性(MEL、GH分泌亢進)が認められたことを受けて、ルーメンバイパス処理したTrp及び加糖Trpを用いて、急性ストレス環境下、並びに長期給与下でのTrp給与効果について調査を行った結果、当該バイパス性飼料の給与はストレス関連ホルモンの分泌を抑制させ、MEL、GH分泌を亢進させると同時に、子牛の体重増加にも寄与することが判明した。このように、Trpを用いた新たな飼料給与技術は免疫系-神経系-内分泌系機能のバランスを調整し、生産効率を低下させずに家畜の健康を増進させる役割を担うと今後期待される。
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