2013 Fiscal Year Annual Research Report
ウシ体外受精胚のエピジェネティクス特性とその制御機構の解明
Project/Area Number |
23580384
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
澤井 健 岩手大学, 農学部, 准教授 (90390864)
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Keywords | 発生工学 / 初期胚 / ウシ / 体外受精 |
Research Abstract |
本年度は、体外発生培地へのProgesterone(P4)添加が、ウシIVF胚の初期発生におよぼす影響について明らかにすることを目的とした。P4はウシ胚の発生に作用することが知られているが、その作用が卵管および子宮を介するものなのか、または、直接胚に対するものなのかは不明である。さらに、ヒト黄体細胞などにおいて、培養液へのP4添加が抗アポトーシス作用を示すことが報告されている。これらのことから、P4はウシ初期胚においても抗アポトーシス作用を示す可能性がある。そこで本研究では、体外発生培地へのP4添加がウシ体外受精(IVF)胚の発生とアポトーシスにおよぼす影響について検討した。 成熟培養後のウシ卵子をIVF培地中で6時間媒精することによりIVF胚を得た。得られたIVF胚は、15 ng/ml P4添加またはP4無添加のTALP培地中で8日間培養した。P4の添加条件は発生培養開始後3日間(前半)と、その後の5日間(後半)に分けて設定し、全培養期間P4添加(++区)、前半のみP4添加(+-区)、後半のみP4添加(-+区)、および全培養期間P4無添加(--区)の以上4区を設けた。また、培養開始後8日目の胚盤胞(BC)期以上の胚を固定しTUNEL陽性細胞数を計測した。 培養開始6日目において、桑実期以上に発生した胚の割合は+-区、--区と比較して++区で有意に高く(P<0.05)、同7日目および8日目の早期BC期以上への発生率は--区と比較して++区で有意に高い値を示した(P<0.05)。BC期胚の総細胞数およびTUNEL陽性細胞の割合においては、処理区による有意な差は認められなかった。TUNEL陽性細胞が総細胞数の5%以上を占める胚の割合は--区、-+区、++区、+-区の順に高い値を示した。 本研究結果から、ウシ初期胚において発生培地へのP4添加はウシIVF胚の発生率を向上させ、P4はウシ初期胚への直接的な作用を有することが明らかとなった。また本研究では、ウシIVF胚でのP4添加による抗アポトーシス作用は確認されなかった。
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Research Products
(2 results)