2011 Fiscal Year Research-status Report
ニワトリ胚の下垂体-甲状腺系フィードバック機構の成立機序に関する研究
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23580387
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
岩澤 淳 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (90242742)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 代謝・内分泌制御 / ニワトリ / 甲状腺刺激ホルモン / 甲状腺ホルモン |
Research Abstract |
ニワトリ胚の視床下部-下垂体-甲状腺軸を研究対象として,この軸の構成要素が,発生過程のどの時期から機能するのかを,特に下垂体と甲状腺に注目して,主に分子生物学的手法と組織化学的手法を用いて明らかにすることを目的に,初年度の研究を行った。下垂体については,前葉から分泌されるTSH(甲状腺刺激ホルモン)の,酵素免疫測定法を用いた血中濃度測定法の開発を行った。その結果,測定感度がやや低いため血中濃度が低いと測定限界以下となるが,血中に高濃度のホルモンが放出された場合や,下垂体中のTSH含量を測定する目的には支障ないことがわかった。次に,甲状腺については,孵卵日数の進行に伴う血中甲状腺ホルモン濃度の変化を調べたところ,孵化に際して急激な増加が認められた。また,リアルタイムPCR法を用いて甲状腺におけるTSHレセプター,NISヨウ素輸送体,チログロブリン,甲状腺ペルオキシダーゼ,甲状腺特異的転写因子の,孵卵日数の進行に伴う変化について検討し,いくつかの特徴あるパターンが認められたので,今後詳細に検討する。同因子のin situ hybridizationによる検出は予備的検討に時間を要したため,本実験は次年度に行うことにした。また,甲状腺ホルモンが機能するには末梢組織での3種類の脱ヨード酵素の働きが不可欠のため,リアルタイムPCR法を用いてこれらの酵素遺伝子の発現を調べた。その結果,血中甲状腺ホルモン濃度の変動に一致して酵素遺伝子の発現量の変化が認められ,脱ヨード酵素の重要性が明らかになったため,次年度も引き続き検討を深める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
・TSHの血中濃度測定法の開発について,検出感度がやや低いため,血中濃度が低いと検出限界以下となる。感度の向上について検討する必要がある。・本年度予定していた in situ hybridization について,本年度は予備的検討に終わったため,本実験を次年度に行う必要がある。・その他はおおむね計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
ニワトリ胚の発生段階を追って,下垂体と甲状腺におけるホルモン,受容体,特異的タンパク質など,視床下部-下垂体-甲状腺軸が機能するために不可欠な因子の発現を検出・定量し,その発現順序を検討する。今年度の検討課題(上記,達成度の理由に記載)を解決し,さらに,今年度に興味深い結果が得られた3種類の脱ヨード酵素の遺伝子の変動に関して,次年度はこの酵素が存在すると考えられる様々な臓器(肝臓,腎臓,骨格筋,心筋,脳,下垂体,腸管等)において,孵卵中の発現量の変化をリアルタイムPCR法を用いて定量する。また,計画調書に基づき,次年度は下垂体におけるTSH遺伝子の発現のリアルタイムPCR法を用いた定量と,甲状腺特異的因子(TSHレセプター,NISヨウ素輸送体,チログロブリン,甲状腺ペルオキシダーゼ,甲状腺特異的転写因子)のリアルタイムPCR法およびin situ hybridization 法を用いた検出を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
設備備品(リアルタイムPCR装置)については今年度の研究費によって購入することができたため,次年度はこれを用いて,上述した様々な遺伝子の発現量を調べる。このため,次年度の研究費は主としてリアルタイムPCR用試薬の購入に充てるほか,実験用の鶏卵,ディスポーザブルのプラスチック器具類の購入にも用いる。また,今年度の研究成果を学会発表するため,国内旅費を使用する。
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