2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23580388
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
斉藤 昇 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (40211924)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ニワトリ / 抗利尿ホルモン / 遺伝子発現 / TonEBP / 転写因子 / 高浸透圧刺激 / 脳 |
Research Abstract |
ニワトリの脳内における転写因子TonEBP(tonicity-enhancer binding protein)の局在性を明らかにし、抗利尿ホルモンであるAVT(arginine vasotocin)との共存性を調べた。初めに、ニワトリのヒヨコに 高浸透圧刺激(3.0M NaCl溶液)を行ない、浸透圧刺激後のTonEBPの局在性を免疫染色により調べた。その結果、TonEBPの免疫陽性反応が VT陽性細胞が多いPVN(para-ventricular nucleus)とSON(supra optic nucleus)において観察された。今後、さらに TonEBP免疫陽性反応の定量及び、AVTとの共存性を調べ、TonEBPの役割について考察する予定である。ニワトリAVT遺伝子プロモーター領域に転写因子TonEBPが、直接結合するかを明らかにするために、ゲルシフトアッセイ法を用いて調べた。AVT遺伝子プロモーター領域に存在するTonE(tonicity-responsive enhancer element)領域のプローブを作成し、脳から抽出した核タンパク質と結合するかを調べた結果、 TonEプローブの電気泳動の位置が移動したために、TonEプローブに何らかのタンパク質が結合したと考えられた。また、 TonEBP抗体をTonEプローブと反応させた後には、移動するバンドの減少が見られたことから、 TonEプローブと結合したものはTonEBPであると考えられた。以上の結果から、TonEBPはAVTの転写調節に重要な役割を果たしていることが示唆された。 また、浸透圧受容体の候補と考えられるAQP4(aquaporin)の脳内局在性を明らかにした(Yoshimura et al., 2011)。その結果、AQP4が脳内の水分代謝調節に関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに、 浸透圧刺激後のTonEBPの組織学的発現解析については、TonEBPの免疫染色を行なう条件設定が出来、定量を始める段階まで進展した。ゲルシフトアッセイ法についても、条件設定が出来、TonEBPがAVTのプロモーターに結合することが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね計画通りに進展しており、現時点で特に変更するような問題点はないので、当初の予定通り進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定通り、転写因子TonEBP遺伝子発現を調節している上流の因子を検索し、浸透圧受容体の本体および脳内の情報伝達系を検索する。 23年度残額776,814円と24年度予算1,300,000円を合わせて、2,076,814円の予算となる。試薬など物品費が、1,476,814円、旅費(成果発表)、100,000円、人件費・謝金など500,000円の予定である。
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