2013 Fiscal Year Annual Research Report
マウス体細胞核移植胚の新規発生促進技術の開発とその促進機構の解明
Project/Area Number |
23580390
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 雅保 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (10243073)
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Keywords | 体細胞核移植 / クローンマウス / 脱イオン化BSA注入 / trichostatin A / vitamin C / Oct3/4の発現 / ヒストンアセチル化 / ヒストンメチル化 |
Research Abstract |
1.マウス体細胞核移植(SCNT)胚の細胞質中に脱イオン化BSA(d-BSA)を注入すると、その産仔への発生が促進される。 1) 6% d-BSA溶液を除核MII期卵母細胞に体細胞核を移植した直後に注入することによって、そのSCNT胚の胚盤胞への発生が著しく促進されるが、前核期SCNT胚に注入してもそのような効果は全く発揮されない。2) d-BSA注入によってSCNT胚のH3K9及びH4K12のアセチル化が促進されたことから、d-BSA注入の発生促進効果は、ヒストンアセチル化の促進によるエピジェネティック調節を介して発揮されることが示唆される。3) 無処理SCNT胚からは、産仔は得られなかったが、d-BSA注入SCNT胚から産仔が得られ、その割合は、TSA処理胚と同程度であった(2.7%, 2.9%)。 2.マウスSCNT胚の発生に及ぼすヒストンアセチル化酵素阻害剤(HDACi)及び核のリモデリング因子であるビタミンC(VC)の促進効果 1)マウスSCNT胚をクラスI及びIIa/b HDAC阻害剤であるTSAで処理すると胚盤胞への発生が促進されるが、クラスI及びIIa HDAC阻害剤であるバルプロ酸(VPA)処理では、そのような発生促進効果は無く、クローン胚盤胞におけるトリメチル化ヒストンH3K27の局在や多能性因子であるOct3/4の発現強度と局在が正常化することが明らかとなった。2) マウスSCNT胚を活性化後8時間目から15時間目の間VC処理すると、胚盤胞期及び産仔への発生が促進され、産仔への発生率(1.7%)はTSAの場合と同程度であった。ところが、TSA処理(活性化後0h~8h)とVC処理(活性化後8h~15h)を組み合わせると、産仔への発生率(18%)は飛躍的に促進されることが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)