2011 Fiscal Year Research-status Report
卵巣におけるプロゲステロンとエイコサノイドの協調的及び拮抗的相互作用の機序の解明
Project/Area Number |
23580392
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
久留主 志朗 北里大学, 獣医学部, 准教授 (50215076)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
折野 宏一 北里大学, 獣医学部, 准教授 (60214235)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | リン脂質代謝 |
Research Abstract |
幼若ラットの過排卵モデルにおけるCOX-2発現とそれに関連する酵素の発現動態を調べた。排卵直前の成熟卵胞において、顆粒層組織と卵丘組織の両方にCOX-2は誘導されたが、アラキドン酸供給酵素として、グループ4Aのホスホリパーゼを同定した。またCOXの下流酵素としてのPGE2合成酵素(PGES)については、mPGES-1が卵丘のみに、mPGES-2とcPGESは卵胞膜に発現しCOX-2ではなくCOX-1と共局在することが明らかとなった。これは、卵胞の破裂、すなわち排卵と卵丘組織の膨潤、すなわち受精とでは、産生される酵素イソフォームやエイコサノイドが異なること示唆しており、非常に興味深い。もう一つのテーマであるラット黄体の退行過程に、Fas、Fas ligand、caspase-3が空間的に一致するように発現し、なかでもFasの発現が一過的に増加することを見出した。この機序はプロゲステロンの産生と作用の変化には影響されず、また性周期黄体と偽妊娠黄体のそれは、妊娠黄体のそれとは違う組織形態を示した。炎症細胞としてみなされるマクロファージや好中球の浸潤動態からもこのことは確認され。黄体退行機序は炎症様の変化としてみなされるものとそうではないものに区別して新たな観点からの検討を示唆するものである。両テーマとも新規の知見が得られ、これは動物種を問わずかなり独創的なテーマへと発展していく可能性を与えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
得られた研究データ量は当初のそれよりも少ないもののその内容はきわめて示唆に富むものであり、質的価値としてはかなり高いと思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
得られたデータの新規な点について、この点を深化させることが研究全体の新規性、独創性につながっていくと思われる。これは動物種差を考慮に入れてもそうであり、研究の3割程度の変更により更に推進できる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
排卵直前の卵胞について、1)COX-2関連酵素の組織局在と発現動態の検討、2)組織別のCDX-2 発現とEicosanoid の直接定量、3)Eicosanoidの自己増幅機構での上昇時と下降時の仕組みの解明、である。 黄体退行について、1)GIVA PLA2 系代謝物のP4 や20a-HSD 活性への効果、2)P4 がEico の産生に与える影響(GIVA PLA2、COX-2 発現とEico の直接定量、3)GVIA PLA2 活性がステロイド産生細胞と組織マクロファージに与える影響、である。
|