2013 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣におけるプロゲステロンとエイコサノイドの協調的及び拮抗的相互作用の機序の解明
Project/Area Number |
23580392
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
久留主 志朗 北里大学, 獣医学部, 准教授 (50215076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
折野 宏一 北里大学, 獣医学部, 准教授 (60214235)
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Keywords | 排卵 / 黄体退行 / ホスホリパーゼ / シクロオキシゲナーゼ / オートタキシン / 妊娠 / 分娩 |
Research Abstract |
本研究での平成25年度の成果は以下に要約される。1)~2)は排卵の、3)~6)は退行黄体での知見である。1)排卵成熟卵胞のPPAR発現はhCG投与直後の顆粒層と卵丘ではPPARとPPARであり、前者については発現量がhCG4h以降、低下した。2)in vivoにおいてPPARのagonist/antagnoistを投与した状態でのhCGに対するCOX2反応は、antagonistは無効でagonistで発現が抑制された。3)性周期黄体の自発的退行には、GIVA PLA2の下流でlysoPLD活性を発揮するautotaxin (ATX)という新たな蛋白質が誘導されることを発見した。4)両酵素の産生物であるリゾホスファチジン酸(LPA)は、退行時の好中球やマクロファージの浸潤を抑制的に調節し、間質線維芽細胞の増殖と走化性へは促進的に影響した。5)ATXは妊娠後半期の妊娠黄体にも特異的に誘導されることも見つけ、局所でのP4合成や血管新生の促進、及び全身性の何らかの機能を想定している。6)退行黄体でのFas発現はP4の産生と作用の変化には影響されず、また性周期黄体と偽妊娠黄体のそれは、妊娠黄体のそれとは違う組織形態を示した。7)ATXは、胎盤、子宮、胎膜などでも発現し、発現量と活性は概ね分娩直前に増加した。 以上のように3カ年にわたる本研究は当初の計画に関しては約60%の達成度に留まったが、ATXという新たな研究の糸口となる因子を発見することができ、この因子は卵巣局所のみならず、妊娠の各所で発現しまた時間的に変動することから妊娠や分娩のメカニズムを探る上でキー物質になるのではないかと思われた。
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