2013 Fiscal Year Annual Research Report
ウシ体細胞クローンに用いるドナー細胞の簡易保存とくに凍結乾燥保存法の開発
Project/Area Number |
23580396
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
佐伯 和弘 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (10298937)
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Keywords | ウシ / クローン動物 / 体細胞 / 簡易凍結 / 凍結乾燥 / 細胞穿孔 / DNA断片化 |
Research Abstract |
本研究では、クローンウシの生産に利用可能な細胞の簡易凍結および凍結乾燥保存方法について検討した。 まず、ウシ組織の簡易凍結保存を検討した。殺処分したウシから種々の組織をなんら耐凍剤を加えず-20℃、-80℃および-196℃で凍結保存し、融解後培養細胞の取得が可能かどうか検討した。-20℃では1週間保存した耳介および肺から培養細胞が得られたが、それ以外の組織およびそれ以上の期間では培養細胞は得られなかった。-80℃で6ヶ月保存した耳介、肺および筋間脂肪から、1ヶ月保存した皮下脂肪および脾臓から、1週間保存した腎臓、骨髄および骨から培養細胞が得られたが、それ以外の組織およびそれ以上の期間では培養細胞は得られなかった。-196℃保存区で1週間保存した耳介、肺および筋間脂肪から培養細胞が得られたが、それ以外の組織およびそれ以上の期間では培養細胞は得られなかった。これらのことから、凍結保存温度は-80℃で組織は耳介、肺および筋間脂肪が、細胞の簡易凍結保存に適していることが示された。 次に細胞の凍結乾燥保存を試みた。簡易凍結により耳介、肺および筋間脂肪が凍結保存に適しているので、採取が容易な子牛の耳介を一部を採取し、細切したのち初代培養を行い3継代したものをセルバンカーにて凍結保存し実験に供した。培養細胞へのトレハロース導入は、digitoninによる膜透過処理によるトレハロース導入を行った。まず、0,30,40 μg/mlの digitoninで細胞膜を穿孔し、0.6Mトレハロースを導入し凍結乾燥した。これら細胞を復水し、細胞核DNAの断片化状態をComet assayにより検討したが、いずれも核DNAの断片化が著しかった。そこで、より低いdigitonin濃度、10,20μg/mlでトレハロース濃度0.2, 0.4M で細胞を凍結乾燥した。トレハロース濃度が0.2Mと低いと核DNAの断片化が著しかったが、 0.4Mトレハロースでは、核DNAの断片化が少なく、生存細胞と差が見られなかった(P<0.05)。
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Research Products
(3 results)