2013 Fiscal Year Annual Research Report
暑熱ストレス負荷時におけるニワトリの摂食量低下メカニズムの解明
Project/Area Number |
23580404
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
河上 眞一 広島大学, 生物圏科学研究科, 准教授 (50343984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊後 貴嗣 広島大学, 生物圏科学研究科, 教授 (40325361)
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Keywords | ニワトリ / 摂食行動 / 暑熱 / 神経伝達物質 / 視床下部 / 副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン / アルギニンバゾトシン / c-Fos |
Research Abstract |
地球温暖化による気温の上昇は「暑熱ストレス」として家畜・家禽の摂食行動を抑制する。外界の温度情報は視床下部に存在する視索前野(POA)に統合され、摂食行動を制御する視床下部の各神経核、例えば弓状核(ARC)や室傍核(PVN)に伝達されることが想定されるが、それらを証明する知見は存在しない。よって本研究は、暑熱ストレス負荷時におけるニワトリの摂食行動抑制の脳内メカニズムの一端を解明することを目的とした。当該年度は暑熱ストレスにより活性化する脳内部位の同定を目的として、神経活動の指標として汎用されるc-Fos蛋白質の抗体を用い、暑熱環境下におけるニワトリヒナ視床下部の免疫組織化学的染色を実施した。 POA領域では前内側視索前核 (AMPO) 、正中視索前核 (MnPO) 、海馬交連核 (HiC) にc-Fos免疫陽性神経細胞が多数観察され、PVN領域では室傍核小細胞部 (PaPC) および大細胞部 (PaMC) 領域にc-Fos免疫陽性神経細胞が観察された。しかしARC 領域ではそれらはほとんど観察されなかった。以上より、暑熱環境下のニワトリヒナ視床下部では主にPOAおよびPVN領域の活性化が誘起されることが示唆された。 以上を踏まえ、本研究期間全体を通じて暑熱環境下における摂食行動抑制の脳内メカニズムの一端が解明された。まず副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン (CRH)またはアルギニンバゾトシン(AVT)阻害剤の側脳室への投与により、暑熱による摂食抑制が緩和されたことから、暑熱時の摂食抑制に関与する神経伝達物質はCRHおよびAVTである。CRHおよびAVTはPaPC領域に局在することから、この領域で観察されたc-Fos発現はCRHおよびAVT含有神経細胞の活動を反映することが示唆された。またPOA領域でのc-Fos発現は末梢からの温度情報の受容を反映すると考えられた。
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Research Products
(4 results)