2012 Fiscal Year Research-status Report
アストロサイト膨潤の分子基盤に基づいた新規脳浮腫治療薬の開発
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23580408
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
森山 光章 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (20275283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 洋一 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (90180413)
高野 桂 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 助教 (50453139)
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Keywords | アンモニア / 肝性脳症 / 浮腫 / アストロサイト / 国際情報交換 |
Research Abstract |
平成24年度は前年度に得られたin vitro 実験の結果がin vivoでも当てはまるかどうか検討した。すなわち、肝性脳症モデルラットを作成し、生じる脳浮腫に対して各種阻害剤や抗酸化剤が抑制効果をもつか検討した。雄Wistarラット (adult) にチオアセトアミド (TAA) を投与し、急性肝障害ラットを作出した。TAAラットは高アンモニア血症と神経症状を呈し、肝性脳症モデルとして広く認められている。TAAラット脳の浮腫の程度をgravity method を用いて調べたところ、増大が認められ、このとき大脳皮質のNa+-K+-2Cl―cotransporter 1 (NKCC1) タンパク発現および活性は、どちらも増加していた。これらの変化は、MAPキナーゼの阻害剤、抗酸化剤であるカタラーゼ、NO合成阻害剤であるL-NAMEやパーオキシナイトライト除去剤である尿酸の前投与により抑制され、これらの薬物処置はTAAによる脳浮腫も抑制した。今回得られた結果から、in vitro 実験から得られた結果より想定される細胞膨潤の発生機序がin vivoでも同様に当てはまることが明らかとなった。したがって、in vivo 動物においても細胞ボリューム調節タンパクの変化を是正することにより、肝性脳症時に見られる脳浮腫を抑制しうる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ当初の計画通りだから。
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Strategy for Future Research Activity |
実験計画の最終年度である今年度は、前年度まで検討してきたcytotoxic edema model ではなく、もう一つの浮腫であるvasogenic edema model にまで検討を広げる。Vasogenic edema model であるfluid percussion を細胞に施すため、脳挫傷モデル作成装置を新規に購入する。この装置を用いて、アストロサイトにtraumaを加え、細胞ボリューム調節タンパク質の変化を解析する。具体的には、NKCC1の変化に注目し、タンパク発現および活性変化を測定する。また、各種阻害剤添加による影響も同時に検討する。さらに、本課題で得られたすべて結果をまとめ、cytotoxic およびvasogenic edema の発生機序について比較、検討を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
新たな購入物品は脳挫傷モデル作成装置である。その他、培養アストロサイト作成のための妊娠ラットの購入およびタンパク質の活性測定や発現解析のための試薬の購入などの消耗品費に用いる。
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