2011 Fiscal Year Research-status Report
BDV感染による致死的なBD症状の責任病変を特定する
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23580414
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
斑目 広郎 麻布大学, 大学病院, 教授 (20173768)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ボルナウイルス / 感染症 / 中枢神経系 / 遺伝子組み換え |
Research Abstract |
本研究はBDV感染による致死的なBD症状の責任病変(病の座)を形態学的に追求することを目的としている。平成23年度は、ラットに致死的なボルナ病(BD)を発症させるボルナ病ウイルス(BDV)高病原性株が免疫応答非依存的に中枢神経系を直接傷害し、致死的なBDを発症させるという概念に基づいて、ボルナ病症状において両極に位置する、BDV高病原性株(CRNP5)およびBDV標準株(CRP3)および、遺伝子工学的に4ヶ所のアミノ酸変異を組み合わせて(1~4ヶ所)導入した遺伝子組み換えBDV(rBDV)9株を免疫学的に寛容な新生仔ラットに脳内接種実験を実施し、経過観察と以下の解析を行った。1. 新生仔ラットへの11種のBDV感染による臨床徴候と体重:脳内接種後4日おきに8週間、体重を測定し、症状を0(無症状)から3(致死的)にスコア化した。CRNP5の平均スコアが各観察日において最も高く、rBDVについては他のrBDVとCRP3に比較して、有意な高値あるいは高値傾向を示す株が4株存在した。前述の4株を接種された群の体重増加は他のrBDVとCRP3接種個体に比較して、接種20日目以降、有意な低値あるいは低値傾向を示した。2.抗ウイルス抗体を用いた解析とウイルス力価測定:脳の矢状断切片を作製し、2種類の抗ウイルス抗体(抗p24抗体と抗p40抗体)を用いてBDVの分布について免役染色を行い経時的に比較、解析を行い、全接種個体の脳で陽性所見が得られた。ウイルス力価は致死的なBDを発症し、観察途中で採材された個体が観察期を満了した個体と比較して有意に高かった。3.髄膜脳炎の解析:血管周囲単核細胞浸潤を脳の部位別に0から4にスコア化し、総計した値を髄膜脳炎の程度として評価した。最高値は12であったが、囲管性細胞浸潤はrBDV接種群にのみに認められ、致死的BDV個体でスコアが高い傾向が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究ではボルナ病症状において両極に位置する、BDV高病原性株(CRNP5)およびBDV標準株(CRP3)および、遺伝子工学的に4ヵ所のアミノ酸変異を組み合わせて(1~4ヵ所)導入した遺伝子組み換えBDV(rBDV)9株を用いて致死的なBD症状の責任病変(病の座)を形態学的に追求することを目的としている。その一環として脳を部位別に分けて病変の数値化(スコア化)を行い、より客観的な病変の評価を進めて来ている。しかし、平成23年度は一部の病変についてのみ数値化が終了したに過ぎず、研究の進行はやや遅れている。平成24年度については致死的な病変に関与していると考えられる脳の部位を明らかにすべく、症状に関与していると考えられるいくつかの病変について脳を部位別に分けての数値化(スコア化)を進め、致死的なBD症状の責任病変(病の座)を形態学的に示すとともに、高病原性に関与していると考えられるアミノ酸変異の組み合わせを明らかにする。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度はすでに感染実験が終了した感染個体の脳を部位別に分け、病変の計量解析を進める。1.抗ウイルス抗体を用いたウイルス感染程度の計量解析:脳の矢状断切片を作製し、抗ウイルス抗体を用いてBDVの分布について免疫染色を行い、部位別に感染の程度を数値化し経時的に計量解析を行う。2.グリア増殖と活性化を指標とした神経傷害の程度の計量解析:脳の矢状断切片を作製し、アストログリアとミクログリアの増殖と活性化を神経傷害の指標として免疫染色法により経時的に部位別に計量解析する。3.中枢神経病変形成におけるアポトーシスの関与についての計量解析:BDVによる病変形成に重要な役割を果たしていると推定されるアポトーシスの関与について脳の部位別に分けて検討する。以上のことから、4ヵ所のアミノ酸変異の組み合わせの中のどの組み合わせが高病原性に関与し、致死的なBD症状の脳における責任病変(病の座)を形態学的に明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.これまで使用してきた顕微鏡用デジタルカメラが故障し、修理不能となったため、前年度からの繰越金を加え、顕微鏡用デジタルカメラを更新する。2.顕微鏡切片作成のための消耗品(スライドグラス、カバーグラス、染色試薬)と抗体の購入を行う。
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Research Products
(2 results)