2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23580423
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
山口 剛士 鳥取大学, 農学部, 教授 (70210367)
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Keywords | Dermanyssus / ワクモ / 病原性 / 免疫応答 / ニワトリ / 鶏病 / 外部寄生虫 |
Research Abstract |
ワクモ(Dermanyssus gallinae)は、主に鳥類を宿主とする吸血性の外部寄生虫で、全世界に広く分布する。本年度は、昨年度までに得られた成績を基礎にワクモが吸血時に宿主に放出する物質の特定とワクモ吸血に対する鶏皮膚の局所反応および哺乳動物における免疫応答について検討を行った。 前年度実施した質量分析で、Protein disulfide isomerase (PDI)との相同性が示された56kDa分子について、縮重プライマーを設計しPCR法によりワクモPDI遺伝子の一部を増幅、大腸菌で発現クローニングを行いワクモ寄生鶏血清との反応を検討した。また、発現抗原を免疫源とし抗PDI抗体を作成、ワクモ抗原との反応を解析した。ワクモ寄生鶏で抗体応答が認められたもうひとつのワクモ抗原である52kDa分子についても同様の質量分析を実施した。次に、鶏における刺咬部皮膚局所の免疫応答を明らかにするため、刺咬部を病理組織学的検索に供した。また、ラットを用いワクモ吸血に対する哺乳動物の抗体応答について検討した。 ワクモPDIの大腸菌発現抗原を用いて作成した抗PDI抗体は、ワクモの約40kDa分子と反応した。一方、ワクモ寄生鶏血清と大腸菌発現PDIに反応は認められず、ワクモ寄生鶏で抗体応答のあった56kDa分子はPDIとは異なる分子であることが推察された。52kDa分子の質量分析では、データベース上に相同性の高い配列が認められず、分子の特定には至らなかった。刺咬部の病理組織学的検索では偽好酸球の浸潤が認められ、寄生鶏で抗体応答のあるワクモの52および56kDa分子と炎症反応との関連が推察された。また、ワクモに吸血されたラットには、鶏と同様に52kDaおよび56kDa分子に対する抗体応答が認められ、哺乳動物においても吸血時にこれらの分子が宿主体内へと放出されていることが示された。
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