2013 Fiscal Year Annual Research Report
抗菌剤耐性サルモネラの感染様式と耐性因子伝達機構の解明
Project/Area Number |
23580426
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中馬 猛久 鹿児島大学, 獣医学部, 教授 (90201631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 嘉六 鹿児島大学, 獣医学部, 教授 (00136847)
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Keywords | サルモネラ / 抗菌剤耐性 / ブロイラー |
Research Abstract |
薬剤耐性菌問題が久しく続いており、多くの学会でも大きく取り上げられ、鹿児島県のブロイラーからも多剤耐性やセフォタキシム(Ctx)耐性のサルモネラが分離されている。本研究ではブロイラー由来サルモネラの薬剤耐性と保有プラスミドの調査及び解析を行い、サルモネラの薬剤耐性の獲得・拡大とプラスミドの関連について調べた。ブロイラー盲腸検体由来サルモネラ計149株(Infantis 128株、 Manhattan 17株、Typhimrium 4株)を材料とし、9薬剤を用いた感受性試験、PCRとシークエンスによる耐性遺伝子の検出、プラスミドの抽出・レプリコンタイピング・伝達試験を行った。その結果、137株(92%)がストレプトマイシン、スルファメソキサゾール、テトラサイクリンの3剤に、60株(40%)がCtxに耐性を示した。また4種のプラスミド泳動パターンと5サイズのプラスミドが得られた。IncP型の140kbプラスミド(p140)はtetA、aadA1、sul1の3つの耐性遺伝子を保有し、3つの血清型147株から検出されたため、多剤耐性の拡大と大きく関わっていることが示された。IncX1型のp38は、ESBLと関わるblaTEM52遺伝子を保有し、このプラスミドが検出された Infantisと Manhattan 計44株は全てCtxに耐性を示した。これよりp38がCtx耐性の拡大と大きく関わっていることが示された。今回1株あるいは2株のみが保有していたプラスミドにおいても、IncA/C型のp120からblaTEM52、blaCTX-M-25遺伝子、IncI1型のp100からCMY-2、tetA遺伝子が検出され、これまでと異なるプラスミドの出現も認められた。調査したサルモネラにはプラスミドが広く存在し、異なる血清型間に共通のプラスミドが存在したことから、Ctx耐性及び多剤耐性サルモネラの増加とプラスミドは大きく関わっていることが判明した。今後も継続的なモニタリングが必要であると考えられる。
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