2011 Fiscal Year Research-status Report
家畜と野生動物間におけるE型肝炎ウイルスの感染動態の解明
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23580427
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
萩原 克郎 酪農学園大学, 獣医学群, 教授 (50295896)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅川 滿彦 酪農学園大学, 獣医学群, 教授 (30184138)
岡本 実 酪農学園大学, 獣医学群, 准教授 (60372877)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | E型肝炎ウイルス / ブタ / 野生動物 / 病理解析 |
Research Abstract |
(1)HEV感染ブタモデルを用いた、免疫病理学的解析 :国内で野外分離したHEV株4種類(G3us、G3sp, G3jp, G4jp)をブタ(6週齢・各株2-3頭)に感染させ、HEV株の違いによる、免疫及び肝臓の病理解析を実施した。(以下、採材およびHEV検出・病理解析結果)・感染後、定期的に血液および糞便を採取しHEV RNAをReal-time RT-PCRによりモニターした。血清サンプルは、肝機能マーカー(ALT)並びにHEVに対するIgM抗体をELISAにより検査した。また、感染後の血清中サイトカイン(IFN-r, IL-1b, IL-6, IL-8)の推移を調べた。その結果、ウイルス排泄ではG3sp株が他の3株よりも1日早い2dpiで糞便内へのRNA排出が認められた。G3sp株およびG4jp株では、血中の出現が早く3dpiであった。・HEV感染(4-9dpi)に伴い血中のALT値は一過性に上昇したが、いずれの株においても正常値を逸脱するほどの変化は認められなかった。HEV Genotype 3usは、臓器(肝臓・消化管)での増殖レベルが高い傾向が示された。・血清中サイトカインは、感染前の値と比較していずれのサイトカインも顕著な上昇は認められず炎症を示唆する結果は認められなかった。・すべての感染個体(8-14dpi)の肝臓の組織において壊死病変が認められた。肝臓の壊死病変の程度はHEV株間で異なる傾向を示し、G3sp株で壊死病変数が多く観察される傾向を示した。(2)野生動物における生息分布とHEV感染状況を調べる目的から、野生動物捕獲と収集を行い5種381頭のサンプルを入手し、次年度でHEVの感染状況を明らかにする予定である。ドブネズミの調査については、豚由来のHEV株を保有しリザーバーとしての可能性が示唆され論文にて公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HEVの国内分離株のブタにおける病理学的研究については、おおむね予定通り研究が進展し、ブタにおいては株間の病原性の差は認められないことが推察された。動物実験スペースと陰性ブタの確保が困難であり多頭数の実験ができなかったことが課題であった。また、野生動物の調査に関しては、北海道のHEV感染患者数が多い背景から、北海道内に集中して調査を進めていくこととしているが、北海道内のエゾシカに関してはサンプル収集ができたが、他府県についての調査発展は今後の課題である。豚舎周囲で捕獲したドブネズミに関しては、23年度に論文公表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度については、野生動物の収集とHEV疫学調査を実施し、検査からえらたウイルスの遺伝子系統学的な検討とウイルス由来を検討することを目的とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度研究費予算額は、100万円である。野生動物捕獲及びサンプル輸送費用並びに遺伝子診断にかかる試薬・検査キット費用が、全額の80%を占める。その他、検査個体の血清抗体調査にかかる試薬・消耗器具に残り20%予算化し、ウイルス陽性個体からウイルス分離する際の培養費用として10%を計画している。
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Research Products
(1 results)