2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23580428
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
壁谷 英則 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (10318389)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 総一 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (30181829)
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Keywords | 人獣共通感染症 / リケッチア / ベクター媒介性感染症 / ノミ / ダニ / バルトネラ / 猫ひっかき病 / 伴侶動物 |
Research Abstract |
平成25年度は、犬171頭、猫81頭から採取した血液85検体(猫由来45、犬由来40)、ノミ82検体(猫由来81、犬由来1)、ノミ糞4検体(猫由来3、犬由来1)、およびダニ58検体(すべて犬由来)、総計229検体を用いて、Rickettsia、およびBartonella各遺伝子の検出を試みた。その結果Rickettsia遺伝子は検出されなかったが、B.henselae遺伝子が猫由来ネコノミ23検体(28.4%)から検出された。 本研究では、近年注目されているノミやダニなどの吸血性節足動物によって感染する人獣共通感染症のうち、特にヒトと接触する機会の多い犬や猫といった愛玩動物が関わるリケッチアとバルトネラの感染実態を明らかにすることを目的とした。 本研究の結果、人に病原性を示すリケッチアとして、Rickettsia felis遺伝子が猫由来ネコノミ (0.6%)、ノミ糞便(8.2%)からわが国で初めて検出された。さらにR. typhi 遺伝子が猫由来ネコノミ(0.3%)から、R. monacensis 遺伝子が犬由来ダニ(2.1%)からそれぞれ検出された。人に病原性を示すバルトネラとして、犬由来材料については、血液(0.4%)からB. rochalimae、ネコノミ(3.0%)からB.henselae(Bh)、ノミ糞(3.6%)からB.clarridgeiae(Bc)各遺伝子がそれぞれ検出された。猫由来材料については、血液(2.4%)、ネコノミ(12.7%)、ノミ糞(10.6%)からBhが、血液(4.4%)、ネコノミ(26.8%)、ノミ糞(31.4%)からBcが、ネコノミ(4.8%)、ノミ糞(2.9%)からはBhとBcの両者が検出された。さらに、ネコノミ(0.6%)からはB. vinsonii subsp. berkhoffii が検出された。他にも、病原性の不明な既存種とは異なるRickettsia、ならびにBartonella属菌の遺伝子も検出された。 本研究によってこれまでに不明であった、犬・猫とそれらに寄生するノミやダニにおけるリケッチアならびにバルトネラの感染実態の一端を明らかにした。今後、ヒトにおけるこれらの感染者の実態について検討する必要がある。
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