2012 Fiscal Year Research-status Report
鳥インフルエンザウイルスの鶏への感染性獲得メカニズムの解析
Project/Area Number |
23580432
|
Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
高桑 弘樹 京都産業大学, 総合生命科学部, 准教授 (20449507)
|
Keywords | 鳥インフルエンザウイルス / 宿主域 / 感受性 |
Research Abstract |
野生水禽および家禽類から分離される鳥インフルエンザウイルスが、異なる宿主に対して、異なる感染性、増殖性を示すメカニズムを解析することを目的として、昨年度、鶏から分離されたH3N8亜型ウイルス株と、水禽から分離されたH3N8亜型ウイルス株のそれぞれの全て遺伝子分節をクローニングを行い、クローニングされたウイルス遺伝子に変異のない事、また、これらの発現プラスミドが、293T細胞において正常に発現することを、確認済みであるが、水禽のRNAポリメラーザ1(PB1)遺伝子をクローニングしたプラスミドがタンパク質は発現するが、RNAポリメラーゼとして機能しないことが判明し、再クローニングを行い、ウイルス遺伝子との塩基配列に相違がないことと正常に発現し機能することを確認している。また、水禽由来のウイルスと鶏由来のウイルスでそれぞれ遺伝子に変異の多かったHA遺伝子については、キメラタンパク質を発現するプラスミドを構築中であり、これらのプラスミドを含めて、今後、鳥インフルエンザウイルスの動物に対する感染実験を行うために学術研究機関の指定を受けしだい、これらのブラスミドを用いて、鶏と水禽由来のキメラウイルスおよびキメラHAタンパクの遺伝子再集合体を作出し、アイガモとニワトリを用いた感染実験を行う事が可能となった。これらのウイルスを使って、どの分節遺伝子が鶏への感染性獲得に重要であるかを決定することが可能となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
鳥インフルエンザウイルスの取り扱いが、家畜伝染病予防法改定に伴い変更になり、鳥インフルエンザウイルスの動物に対する感染実験を行うためには、学術研究機関の指定を受けなければならなくなり、動物に対する感染実験ができず、研究が遅れているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、鳥インフルエンザウイルスの動物に対する感染実験を行うために学術研究機関の指定を受け、クローニングしたプラスミドを用い、水生家禽から分離されたH3N8亜型ウイルス株を基に遺伝子分節を1本ずつ鶏から分離されたH3N8亜型ウイルス株のものと入れ替えた遺伝子再集合体を作出し、これらの遺伝子再集合体をアイガモとニワトリを用いた感染実験を行い、感染性、各種臓器での増殖性の比較を行い、どの遺伝子分節がニワトリでの感染性および増殖性に関わるのかを検証する。 明らかにされた遺伝子分節上の原因となる領域を明確するため、遺伝子解析により決定された水禽分離株と家禽分離株の遺伝子配列上で異なる領域をキメラ遺伝子またはポイントミューテーションにより変異を導入した遺伝子分節を作製し、アイガモとニワトリを用いた感染実験を行い、家禽類での感染性および増殖性に関わるウイルスタンパク機能部位を明らかにする。 決定されたウイルス側蛋白の機能部位と相互作用する宿主側因子を明らかにするため、ポイントミューテションを入れた人工ウイルスを用いて、アイガモとニワトリで感染実験を行い、各種臓器サンプルを採取し、ウイルス抗原が検出される臓器の分布状況から、ウイルスを反応する宿主側因子の検索を行う。予測される宿主蛋白との蛍光抗体による二重染色や免疫沈降法を用いて、ウイルス蛋白と相互作用する宿主因子の同定を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
鳥インフルエンザウイルスの感染実験を行うために学術研究機関の指定が必要になったため、本年度は感染実験を実施しなかったため、それに伴う予算の執行を行わなかったが、次年度に実施予定である。したがって、次年度は、本年度実施予定していた感染実験等を行うための消耗品、鶏等の購入と、当初より次年度予定していたどの分節遺伝子が鶏への感染性獲得に重要であるかを調査するための消耗品を購入に当てる予定である。
|