2012 Fiscal Year Research-status Report
特殊感染実験施設を利用した媒介動物標的抗エキノコックスワクチン開発の包括的研究
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23580433
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Research Institution | Hokkaido Institute of Public Health |
Principal Investigator |
八木 欣平 北海道立衛生研究所, 感染症部・医動物グループ, 主幹 (70414323)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥 祐三郎 鳥取大学, 農学部, 教授 (60133716)
松本 淳 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (70296169)
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Keywords | エキノコックス / ワクチン / 人獣共通感染症 / 多包虫症 / 寄生虫 |
Research Abstract |
エキノコックス症は、有効な治療薬のない致死的寄生虫性疾患で、本邦、特に北海道での発生が常在化している。本症は、わが国で感染の可能性がある動物由来感染症のリスクプロファイリングの結果、高リスク感染症として上位(104疾患中4位)にランクされた(吉川ら、2009)。北海道では年間15-20名の新規ヒト患者が報告される状況が続き、野生キツネの40%がエキノコックスに感染していることが明らかにされていることから、住民は感染の脅威にさらされている。しかしながら、本症に対する有効な対策を講じる上での必要な学術的検討は、安全に実験を行う施設が限られていることなどの理由から、十分に遂行されていない。 これまでの研究により、我々は、イヌへ感染実験によって得られた成虫より、cDNA ライブラリを作製し、中間宿主に有効なワクチン候補蛋白の探索を行い、新規蛋白質EMY162及びtetraspanin蛋白による免疫が、感染防御として有効に働くことを明らかにした。本研究の初年度では、このうちtetraspanin蛋白を用いた鼻腔への粘膜免疫が有効であることを示し、研究目標の一部の達成を果たした。また、中間宿主ワクチンの適応のため、基礎的情報として、感受性と抵抗性の近交系マウスを用いた実験を行い、将来のワクチン適用に関しての、遺伝的情報の解析の重要性を示した。本年度は中間宿主へ、より有効な免疫を行うため、ワクチン候補蛋白のtetraspanin蛋白とアジュバント効果が報告されているヨーネ菌のfibronectin-attachiment protein(FAP)との融合蛋白を用いた免疫について検討を行い、その有効性を示した(論文1)。また、中間宿主の応答を解析するため、感染マウスの肝臓病変部のmRNAの増減を経時的なマイクロアレイ解析により感受性/抵抗性に関与する遺伝子の解析を試みた(学会発表4)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に予定していたアジュバント効果に関する実験が終了し、その成果を報告することが出来た。また宿主の応答に関するマイクロアレイ解析による実験を遂行し、有用な情報を得るとともに、その一部について報告を行った。これらのことから概ね研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度については、これまでの成果をまとめ、学会、論文等で公表する予定である。一部感染実験については追加実験を行う。イヌを用いた終宿主ワクチン実験について、得られた成果について検討し、報告を行う予定である。物品費の20万程度を繰り越すこととなったが、平成25年度は、それに加えた研究費を利用して研究を遂行する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
追加実験に必要な近交系マウス等の実験動物、また遺伝子解析に用いる消耗費の購入、実験データの解析ならびに発表及び論文作成にかかる費用に用いる予定である。
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Research Products
(6 results)