2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23580438
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
田中 知己 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20272643)
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Keywords | 高栄養給餌 / 繁殖 / 卵巣機能 / 黄体形成ホルモン / プロジェステロン / ヤギ |
Research Abstract |
ヒツジやヤギに対する高栄養給餌処置は排卵数と産子数を増加させる効果がある。本年度は雌ヤギの黄体開花期に4日間の高栄養給餌処置を行い、給餌前後における血中性ホルモン濃度を調べ、卵巣活動との関連を調査した。雌ヤギ6頭を反復供試した。超音波画像検査により排卵を確認した日をDay 0とし、処置群(T群, n=5)にはDay 12 からDay 15までの4日間にわたり可消化養分総量維持要求量の2.5倍、対照群(C群, n=5)には維持要求量の飼料を給与した。Day 0から次回排卵まで連日あるいは隔日に超音波画像検査と採血を行い、卵巣活動および血中ホルモン濃度の推移を調べた。また、Day 12とDay 14に給餌前2時間から給餌後6時間まで10分毎に採血を行い、給餌前後のプロジェステロン(P4)、黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)濃度の変化を調べた。Day 14およびDay 16の卵巣における直径2mm以上の卵胞数はT群がC群に比べ多い傾向(p<0.1)にあった(Day 14; 4.8±1.3 vs 3.6±1.9: Day 16; 5.0±2.0 vs 3.6±0.9)。Day 12において両群ともに給餌開始後1時間にP4濃度の有意な上昇が観察された。Day 14ではT群において給餌開始後1時間から2時間までの P4濃度がC群に比べて有意に高かった。Day 12からDay 15のLH濃度はC群と比較してT群では有意に高かった。FSH濃度は両群間で有意な差はなかった。 黄体開花期における4日間の高栄養給餌処置はその後の発育卵胞数を増加させる傾向にあり、Day 12 からDay 15におけるLH分泌の亢進と高P4濃度の維持を介して繁殖率を向上させる効果があることを示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた黄体開花期における増餌が卵巣活動に及ぼす影響を調べ、短期間の増餌を行うことにより発育卵胞数が増加する傾向にあることを明らかにした。これは特にヒツジやヤギなど1~2頭の多胎動物において栄養学的なアプローチにより繁殖率を向上させることが、黄体開花期からの短期間の給餌により可能であることを示唆している。この成果は日本獣医学会において公表し、当初の目的の一部を達成する成果である。以上のことから、今年度はおおむね順調に進展していると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
栄養学的なアプローチにより家畜の繁殖率を向上させる給餌方法について検討を加える。最近の研究において、乳牛における餌の給与が急性的に下垂体および卵巣からのホルモン分泌に影響を及ぼすことが明らかとなったことから、餌の給与という普段行われている行為自体に対する繁殖機能の反応を詳細に調べ、どのような因子がどのようなメカニズムを介して卵巣機能に影響をおよぼしているか調査する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に生じた残額を加え、平成25年度は当初の予定どおり、分析等に使用する消耗品の購入のための物品費(50万円以上の物品を購入する予定はない)、旅費(研究成果の公表および情報収集)、人件費・謝金、その他(論文校正等)、に使用する予定である。
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