2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23580438
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
田中 知己 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20272643)
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Keywords | 栄養 / 繁殖 / 卵胞 / 黄体 / 性ホルモン / グルコース / ウシ / ヤギ |
Research Abstract |
本研究課題では栄養学的なアプローチにより家畜の繁殖率を向上させることを目的とし、栄養的に条件の異なる環境が繁殖機能に及ぼす影響を検討した。 平成23年度は、乳牛において分娩後の繁殖と栄養状態との関係を検討した。その結果、初回排卵が分娩後早期に起こらなかった牛群において体重の減少が大きくなる傾向がみられ、これらの群は分娩後早期に血中グルコース濃度が高かった。以上より、分娩後の初回排卵は、分娩後早期の体重の低下およびグルコース濃度が関係していることが示唆された。 平成24年度は雌ヤギの黄体開花期に4日間の高栄養給餌処置を行い、給餌前後における血中性ホルモン濃度を調べ、卵巣活動との関連を調査した。雌ヤギの排卵後12~15日に処置群に対して可消化養分総量維持要求量の2.5倍の飼料を給与した。処置期間の卵巣における卵胞数は処置群において多い傾向にあり、プロジェステロン(P4)濃度の上昇が観察された。黄体開花期における4日間の高栄養給餌処置は発育卵胞数を増加させ、高い血中P4レベルの維持を介して繁殖率を向上させることを示唆した。 最終年度では給餌レベルの異なる経産牛および未経産牛において繁殖機能の違いを比較検討した。経産牛については分娩後卵巣周期が回復したことを確認した後の泌乳最盛期(給餌量を増加させる時期)に、未経産牛(泌乳していない状態)については繁殖供用開始適齢期である14ヶ月齢においてサンプリングを行い、発情周期における卵巣機能の違いを比較検討した。例数はまだ十分ではないものの、黄体期における最大黄体直径および血中P4濃度、また卵胞期における排卵卵胞直径に違いは認められなかった。乳牛における餌の給与が急性的に卵巣機能に影響を及ぼすことが先行実験において示されていることから、給餌前後という短時間における変化についても今後検討する必要があると考えられた。
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