2013 Fiscal Year Annual Research Report
分子標的治療を目指した犬血管肉腫における増殖因子/受容体系の分子基盤の解明
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23580439
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
酒井 洋樹 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (40283288)
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Keywords | 犬 / 血管肉腫 / DNAアレイ / PDGF受容体 / 遺伝子変異 / MUC-1 |
Research Abstract |
本研究で得られた犬血管肉腫細胞株と犬の大動脈血管内皮細胞を比較対象として,mRNAの発現比較をcDNAアレイにて行った。その結果,IL-13RAなどのサイトカイン受容体などの変動がみられたが,血管肉腫においては,粘液性糖タンパク質であるMUC-1の発現の上昇がみられた。さらに,MUC-1に対するリアルタイムRT-PCRでも,犬血管肉腫腫瘍細胞株において,その発現上昇が確認された。また,そのぞれの犬血管肉腫腫瘍細胞株から総たんぱく質を抽出し,SDS-PAGE後にウェスタンブロッティングによって,MUC-1タンパク質を確認した。ただし,その分子量は22kDa程度で,一般的なMUC-1に比較して低分子量であり,アイソフォームの可能性が示唆された。犬の血管肉腫組織において,腫瘍細胞にMUC-1の局在がみられたが,その陽性像は細胞質のみならず,核にもみられた。一方,犬の血管腫では,陽性所見は得られなかった。以上より,MUC-1が犬血管肉腫の悪性増殖に関連する可能性が示唆された。MUC-1と肉腫の関連は,動物を含め人においても報告されておらず,比較腫瘍学的にも非常に興味深い結果が得られた。ただし,今回検出されたMUC-1の分子は典型的なものではなく,アイソフォームあるいは,類似分子の可能性があり,血管肉腫の新たな分子マーカーとなる可能性が示唆された。 上記研究とは別の視点で,増殖因子のうち,血小板誘導増殖因子の受容体(PDGFRAおよびPDGRFB)の遺伝子変異の有無を,犬の血管腫瘍で検討した。その結果,腫瘍細胞のゲノム,特に細胞膜近傍のリン酸化を受ける領域をコードする遺伝子領域にはPDGFRAおよびPDGRFBの変異はまれであることがわかり,過剰な自己リン酸化の関与は低い可能性が示唆された。
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[Journal Article] Analysis of genomic mutation and immunohistochemistry of platelet-derived growth factor receptors in canine vascular tumours.2014
Author(s)
Abou Asa, S., Mori, T., Maruo, K., Khater, A., El-Sawa,k A., Abd El-Aziz, E., Yanai, T., and Sakai, H.
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Journal Title
Vet. Comp. Oncol.
Volume: in press
Pages: in press
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Chemically Modified Synthetic microRNA-205 Inhibits the Growth of Melanoma Cells In Vitro and In Vivo.2013
Author(s)
Noguchi, S., Iwasaki, J., Kumazaki, M., Mori, T., Maruo, K., Saka,i H., Yamada, N., Shimada, K., Naoe, T., Kitade, Y., and Akao, Y.
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Journal Title
Mol. Ther.
Volume: 21
Pages: 1204-1211
DOI
Peer Reviewed
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